悲しい結末がハッピーエンドに。奈良を舞台に繰り広げられる美味しい料理と人の心の温かさが胸を打つ物語

小説『「泣ける話」をひとつください。あきらめの悪い編集者と忘れ去られた推し作家』は、奈良を舞台に「泣ける話」を巡って繰り広げられる、美味しい料理と人の心の温かさが胸を打つヒューマンドラマだ。

同書は、心に響く物語にきっと出逢えるをテーマにする、マイクロマガジン社の「ことのは文庫」から、12月20日(水)に発売する。

哀しい結末が優しさあふれるアレンジで蘇る人間ドラマ

『「泣ける話」をひとつください。あきらめの悪い編集者と忘れ去られた推し作家』の著者は、いのうえ えいさん。奈良県出身で、一昨年に、『ヨロヅノコトノハ やまとうたと天邪鬼』にてデビューした。では、同書のあらすじを簡単に紹介しよう。

出版社で文芸編集者として働く柴桜丞(しば おうすけ)には、どうしても原稿を書いてほしい作家が一人いる。その名は鈴代凪(すずしろ なぎ)。

彼は、幼い頃の柴に、最初に「物語の愉しさ」を教えてくれた恩人だった。幼い柴に凪が語ったのは、絵本の中の昔話の「ハッピーエンドアレンジ」。

たとえば『マッチ売りの少女』。少女が凍えてしまう最後がつらくて読み進められない柴に、凪はふんわりと幸せな要素をちりばめた、でたらめなラストを語って聞かせた……。

そして大人になった柴は、マイペースな執筆活動をつらぬく凪に、彼の作風とは違うものの、小説市場の需要にあった、売れ筋の「泣ける小説」を書いてもらうため、彼の営む「古書店兼小料理屋」へ今日も通い詰める。

しかし、柴が凪に「泣ける小説」を書いてもらいたい理由は、本当は別にあった……。

同書は、編集者と作家、それぞれの「泣ける話」に対する思いが胸を打つ。お互いのことを大事に思う2人の姿に、優しい読後感を味わえる思いやりあふれるヒューマンドラマだ。

『マッチ売りの少女』『人魚姫』の有名な哀しい結末が、同書の中で優しさいっぱいのアレンジで蘇る。著者オリジナルのラストシーンは、多くの読者が笑顔と優しい涙を誘うだろう。

そして、舞台のモデルは奈良。奈良出身作家ならではの視線で描かれる、古都の魅力と美味しいご飯。素敵なおとぎ話に満ちた、温かな世界観が同書の魅力だ。

絶対に書かせたい編集者と絶対に書こうとしない作家。風情あふれる奈良を舞台に「古書店兼小料理屋」でのユーモアと思いやりに満ちた「攻防戦」は、読む者を必ずや虜にするに違いない。

「泣ける話」をひとつください。あきらめの悪い編集者と忘れ去られた推し作家
著者:いのうえ えい
装画:Tamaki
価格:781円(税込)
発売日:12月20日(水)
公式サイト:https://kotonohabunko.jp/detail/nakeoshi/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001566.000048095.html

(高野晃彰)