司馬遼太郎の傑作歴史小説『竜馬がゆく』漫画版が『週刊文春』で連載開始

あの司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』がついにコミカライズ、『週刊文春』にて、5月5日・12日合併号から連載が始まった。

漫画化を手がけるのは、産科医療漫画『コウノドリ』の作者・鈴ノ木ユウさん。原作を読んだことがない若い世代も、古くからの司馬遼太郎ファンも楽しめる作品として注目される。

漫画『竜馬がゆく』司馬遼太郎/鈴ノ木ユウ(文藝春秋)

『竜馬がゆく』のコミカライズについて

司馬遼太郎の金字塔的作品『竜馬がゆく』

小説『竜馬がゆく』は、数々の歴史小説を世に送り出した司馬遼太郎にとっても金字塔的な作品。総発行部数は2500万部を超えるという大ベストセラーだ。

主人公の坂本竜馬は、この小説が発表される前は半ば忘れ去られた人物だった。その竜馬を歴史の表舞台に引き上げ、一躍、国民的英雄の地位に位置付けた作品でもある。

名もない土佐の郷士の次男坊に生まれた竜馬。幕末という激動の時代を生き、海援隊の創出・新政府綱領八策の作成などを行った。そして、薩長同盟・大政奉還に深く関わり、明治維新の立役者となった近世日本の偉人だ。

同小説は、そんな竜馬の波乱に富んだ生涯を、多数の青春群像を絡めながら壮大なスケールで描いている。

漫画『竜馬がゆく』司馬遼太郎/鈴ノ木ユウ(文藝春秋)

「司馬遼太郎が伝えたかったことを常に考えながら描いた」

漫画化にあたり鈴ノ木ユウさんのコメント

鈴ノ木さんは、同小説をコミカライズするにあたり「何度も原作を読み返した。そして、司馬遼太郎が伝えたかったこと、後世に残したかったことを、常に考えながら描いた」という。

鈴ノ木さんの視点を通して、さらなる竜馬の魅力が伝わることに期待したい。

司馬遼太郎プロフィール

1923年、大阪府生まれ。1960年に『梟の城』で第42回直木賞を受賞。主な著書に『竜馬がゆく』、『国盗り物語』、『燃えよ剣』、『坂の上の雲』、『翔ぶが如く』、『関ヶ原』、『功名が辻』、『菜の花の沖』など多数。1996年没。

鈴ノ木ユウさんプロフィール

1973年、山梨県生まれ。2007年、『東京フォークマン/都会の月』で第52回ちばてつや賞に準入選。「モーニング」(講談社)に2013年から2020年にかけて連載した、産科医療を題材とする『コウノドリ』が第40回講談社漫画賞の一般部門を受賞。同作は累計800万部超を記録し、綾野剛主演で2度テレビドラマ化された。

坂本竜馬はある意味奇跡的な人物だ。歴史は突然竜馬を生み出した。そして新しい時代の始まりとともに役目を終えたように33歳の若さで散っていった。

同漫画を読むことで、坂本竜馬の人生が、より身近なものとして感じられるようになるだろう。

文藝春秋 公式サイト:https://www.bunshun.co.jp/

(高野晃彰)