東京・北参道「chisa」にて 「さよならサリール-イタリアデザインの革命を支えた、小さなガラス工房」開催!

2019年に惜しまれつつ閉鎖、約100年にわたるその歴史に幕を下ろしたヴェネチア・ムラーノ島のガラス工房「サリール」。

東京北参道のショップ・ブランド「chisa(チサ)」は、サリール工房の功績を称え、50点を超える名品たちを紹介。今回が、最初で最後の展覧会となる。

ヴェネチア・ムラーノ島、ガラス工房の歴史

13世紀末、ヴェネチア共和国はガラス技術の流出を防ぐべく、全ての職人とその家族をムラーノ島に幽閉した。逃亡すれば死罪。但し、ガラス工芸発展に寄与した者には貴族の称号を与えるという「飴と鞭」の政策行った。これにより、ガラス文化は開花し、共和国繁栄の財源となった。

最盛期は数百のガラス工房が存在したムラーノ島だが、後継者問題、昨今の燃料費高騰なども手伝って、イタリアの貴重な伝統工芸品であるムラーノガラスは、かつてない危機的状況下にある。

多くの芸術家のデザインを生み出したサリール工房

溶けたガラス種を熱いうちに巻き取り、息を吹き入れ成形するホットワーク技法を世界に誇るムラーノ島にありながら、サリール工房は、冷え固まったガラス器の表面に彫刻を施す、コールドワーク製法を極めた唯一無二の工房だった。

同工房には、イタリアデザイン界の巨匠、ジオ・ポンティ氏、エットレ・ソットサス氏。そして、ミラノ発の人気インテリアブランドとして世界中で愛されるフォルナゼッティ氏など名だたるアーティストがデザイナーとして参画。

サリール工房は、彼らのデザインをガラス工芸として誕生させ、それまで貴族をターゲットにデザインされてきたムラーノガラスのモダニズム変革に大きく貢献。ヴェネチア・ビエンナーレをはじめ、世界でセンセーションを巻き起こしたが、2018年に閉鎖を決定し、2019年に惜しまれつつ閉鎖した。

「さよならサリール-イタリアデザインの革命を支えた、小さなガラス工房」

サリール工房のクライアントとして、40年ほど関係を築いてきた20世紀ムラーノガラス研究家・小瀧千佐子さんが、アートを暮らしの中に取り入れて欲しいという願いを込めて作品を厳選、本展覧会を監修した。

展示作品は、購入可能なものから、小瀧さん自身が所蔵する貴重な美術品まで。サリール工房の築いた、尊い歴史を知ることもできる。

ここでは、出品する作品の一部を紹介しよう。グラヴィール 円錐型花器 は、480,000円(税別・本体価格)

エナメル彩 四方鉢は、「聖母の百合」と名付けらる。 135,000円(税別・本体価格)

グラヴィール リキュールグラス は、各60,000円(税別)

約100年間にわたり、ヴェネチア・ムラーノ島のガラス芸術を支えた続けたサリール工房。同展示会で、その名品たちとの出会いを堪能したい。

さよなら、サリール-イタリアデザインの革命を支えた、小さなガラス工房
会場:chisa
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-21-2
会期: 11月18日(金)~12月25日(日)
定休日:月曜・火曜・水曜
時間:11時~18時 ※最終日は、17時まで
公式:https://chisa.jp/
公式instagram:https://www.instagram.com/chisa_tokyo/

(高野晃彰)