NHK出版は、11月10日(木)よりNHK出版新書『新説 家康と三方原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く』を販売中だ。
戦国史が大きく転換する事件でありながら不明な点が多い三方原合戦。この合戦に「補給と援軍」という新しい視点による検討・分析を行い、合戦にまつわる多くの疑問を再検証。
筆者は、来年のNHK大河ドラマ『どうする家康』で時代考証を行う平山優さん。新たな三方原合戦像を提示する。
『新説 家康と三方原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く』が刊行
江戸幕府を開府した徳川家康。その家康が喫した唯一の大敗と言われる三方原合戦については、正確な戦場すら明らかではない。
甲斐の名将・武田信玄との戦は、1572(元亀3年)年12月22日に開戦、わずか2時間ほどで徳川軍の敗走という形で終結した。
『新説 家康と三方原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く』の著者は歴史学者であり、2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』の時代考証者を行う平山優さん。
平山さんは、『信長公記』の「武田軍が堀江城を攻めようとしたので、徳川家康は軍勢を出しこれと戦った」という三方原合戦についての記述に、長年にわたり違和感を持っていた。
今回、平山さんが本書で提示する新解釈は、2020年に行った遠江の古道と河川、城砦の関係についての資料作りをきっかけに、「家康は浜松城を維持するために、信玄に戦いを挑まざるをえない状況に追い込まれたのではないか」という着眼から生まれた。
これは従来、三方原合戦についての画期的な研究書と評される『三方原之戦』(高柳光壽著、1958年刊)と、全く異なる視点に立つ。
平山さんは、本書における新解釈を立証するための史料渉猟を進める中で、過去に何度か読んでいた堀江城主・大澤基胤の「三方原を封鎖してしまえば、懸川に在陣する敵軍(徳川軍)は難儀することだろう」と明言する書状を読み直した際、まさに自身の新解釈を裏付けるものと確信したという。
本書の主なページ立ては、第一章 家康の自立と武田信玄、第二章 甲三同盟と今川氏滅亡、第三章 家康、信玄の訣別、第四章 開戦、第五章 浜松城と徳川家康、第六章 武田軍の動向と徳川家康の決断、第七章 三方原合戦、第八章 不可解な信玄の動き、むすびにかえて-三方原合戦の歴史的意義となる。
まさに本書一冊で、謎多き三方原合戦についての詳細を知り、「補給と援軍」という新視点から、合戦についての新解釈を考える機会を与えてくれる。
今年は、高柳説が発表されて64年。そして、三方原合戦450年の節目の年に当たる。平山さんの新視点で三方原合戦を解説する本書を通し、『どうする家康』の前半ハイライトになるこの事件について予習すれば、ドラマへの興味がより深まることだろう。
NHK出版新書『新説 家康と三方原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く』
定価:968円(税込)
著者:平山 優
発売日:販売中
判型:新書判
ページ数:224ページ
ISBN:978-4-14-088688-5
公式サイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886882022.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4140886889/
(高野晃彰)