東京・銀座|金属彫刻作家が「現代社会で生きて行くことの是非」を問う個展に注目

壊れそうなくらいのエネルギーと、それが導き出す新しいビジョンの可能性。

戦後の具体美術・現代アーティスト・新進気鋭の若手アーティストを紹介する、アジアで最も先駆的な画廊のひとつ、ホワイトストーンギャラリー銀座新館で、金属彫刻作家・MADARA MANJIの個展『EXPLOSION』が、4月29日(金)から5月28日(土)まで開催中だ。

Uncovered Cube #55

メディアが注目する金属彫刻作家・MADARA MANJI

MADARA MANJIは、1988年東京都生まれで、高校卒業後、作品の基礎となる彫金技術を学ぶために京都に移住。彫金師に弟子入りし、様々な金属加工の基礎を身につける。日本古来の金属加工技術である「杢目金(もくめがね)」を現代創作の手法として初めて取り入れた先駆者であり、現在も独学で作品を発表する。

MADARA MANJI

厳格な生活を送るMADARA MANJIは、最もシンプルな道具(ハンマー)を使って、金、銀、銅、真鍮などさまざまな非鉄金属の素材を繰り返し打ち込むことで、作品を作り上げる。人間の内なる思考と同じように、長い時間をかけて形成された創造物は、完全には相容れない故に美しいパターンを見せる。

Uncovered Cube #86

情報が自己の臨界点を超えたときに起こるのは……

個展『EXPLOSION』では、人間のさまざまなシルエットを作品で現す「Uncovered Cube」シリーズと、コンクリートと金属を組み合わせた「Ambivalence」シリーズを中心に展示。作品作りを通じて人間精神の有り様を表現してきた作家が、過剰ともいえる情報化社会において新しいビジョンの可能性を模索する展覧会となる。

Uncovered Cube #98

金属が混ざり合ってできるマダラ模様は、誰もが内面に抱える複雑な心理を、直立するコンクリートの塊はその心理を抱えながら生きる人生の質感を表現。情報が自己の臨界点を超えたときに起こるのは、破壊か、進化か、或いはその両方を伴う大きな力の誕生か……。

Ambivalence #12《反復と差異と反復》

MADARA MANJIは、「目まぐるしく変化し続け過剰な相互干渉を強いる環境において自己の臨界点を超えたインプットは、自意識に強烈なストレスとダメージをもたらすと同時に、それ自体が自覚領域の範疇を越えた新しいビジョンの根源となる可能性も秘めている」と語る。

Ambivalence #11《奥にある扉の向こう側》

杢目金の技術を用いた立体作品の制作を行う現代アーティストの作品が示唆する、新しいビジョンの可能性を、会場で体感したい。

MADARA MANJI個展『EXPLOSION』
所在地:東京都中央区銀座6-4-16
営業時間:11:00 – 19:00
休館日:日曜、月曜

MADARA MANJI PROFILEページ:https://www.whitestone-gallery.com/ja/blogs/artist/madara-manji

(MK)