模写の技法がわかる!茅ヶ崎市美術館「ヨーロッパ古典絵画の輝き-模写に見る技法と表現」

オリジナルに倣った単なるコピーとは異なる、原画を再現する技術は一見の価値アリだ。

茅ヶ崎市美術館では、4月2日から展覧会「ヨーロッパ古典絵画の輝き-模写に見る技法と表現」を開幕する。

原画/フラ・アンジェリコ《リナイウォーリ祭壇画》 1433-35年 木島隆康

模写の制作過程や使用する鉱物等の原料、道具類を紹介

ヨーロッパの古典絵画は、描かれてから500年以上経つが、その精緻な描写と画面の輝きは失われず、今日の私たちを惹きつけてやまない。

原画/フェオファン・グレーク《ドンスカヤ聖母》 14世紀末 田中智惠子

この展覧会はヨーロッパ古典絵画の技法と表現に焦点をあてるもの。

美術史研究に基づいて技法と表現から忠実に再現しつつも、日本の風土に合わせるために工夫、研究がなされた模写によるイコン画、15~16世紀のイタリア絵画、フランドル絵画などを展示。さらに普段目にする機会の少ない作品の制作過程とともに、制作に使用される鉱物、顔料などの原料、道具類も紹介する。

日本ではあまり知られていない模写の技法を紹介

ヨーロッパにおける絵画の技法は、イタリア、フランドル(現在のオランダ、ベルギー)の地域で15世紀頃に完成されたと考えられている。

原画/ピーテル・ブリューゲル(父)《鳥罠のある冬景色》 1565年 籾井基充

様々な技法と画材が使用される現代の絵画表現のなかでは、ヨーロッパにおいてでさえ、古典絵画の技法は修復の専門家や研究者の間で継承され、一部の画家たちの創作に応用されているのみといっても過言ではない。

近代化の歩みのなかでヨーロッパ絵画を受容してきた日本では、こうした古典絵画を技法、材料の面から本格的に研究しようする動きはここ半世紀ほどのことで、必ずしも一般に知られているわけではなかったという。

「古典絵画技法研究会」のメンバー7名が制作

本展の出品作品は、「古典絵画技法研究会」のメンバーによって制作。

メンバーは、有村麻里氏(有限会社修復研究所二十一勤務、和光大学非常勤講師)、木島隆康氏(東京藝術大学名誉教授)、田中智惠子氏(有限会社修復研究所二十一勤務)、十二芳明氏(早見芸術学園造形研究所講師、画家)、松澤周子氏(アトリエ・ニンフェア主宰)、籾井基充氏(株式会社東京美術倶楽部勤務)、渡邉郁夫氏(有限会社修復研究所二十一所長、東海大学非常勤講師)の7名。

これまであまり知られてこなかった、ヨーロッパ古典絵画の魅力を存分に楽しんでみたい。

「ヨーロッパ古典絵画の輝き -模写に見る技法と表現」
会期:4月2日(土)-6月5日(日)
休館日:月曜日(ただし5月2日は開館)
開館時間:10時-17時(入館は16時30分まで)
観覧料:一般800円
会場:茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3
所在地:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
HP:https://www.chigasaki-museum.jp/exhibition/6329/

(suzuki)

※価格は全て税込み。障がい者およびその介護者は無料。