テーマは土から生まれるいのち。土に魅了された彫刻家&中国の高名な玉石彫刻家によるコラボレート展

文化・芸術交流をはじめ、青少年交流・留学生寮・語学学校の運営などの事業を展開する日中両国の民間交流の拠点・日中友好会館。

その本館にある日中友好会館美術館は、中国の伝統工芸や書画、現代アートなどオリジナリティのある企画展を定期的に実施するが、3月5日(火)~3月24日(日)の期間、「土から生まれるいのち -彫刻家セツ・スズキと中国玉石作品展」を開催する。

「土から生まれるいのち」をテーマにした展示会

日中友好会館美術館では、日中平和友好条約締結45周年を記念する第3弾として「土から生まれるいのち -彫刻家セツ・スズキと中国玉石作品展-」と題し、日本と中国の彫刻芸術をテーマにした展覧会を開催する。

セツ・スズキ氏は、土に生まれ・土に魅了されている彫刻家。広大な農地の中にアトリエを設け、アート制作と農耕の生活を送る。

その作品は、ロダンを彷彿とさせる初期のリアリスティックな彫像から、人間を超えた姿を表現するゴシック調の作品に進んだ。さらに先住民族のアニミズムを思わせる作品、そしてバングラデシュ・インド・ネパールなどの水田で「ラカン」の顔をつけた無数の赤い柱を展開する「田植(TAUE)プロジェクト」に行きつく。

これは、同氏による人間と社会について、より根源的に迫ろうという試みで、最近の創作活動を「遺伝子に組み込まれた農耕民族としての記憶」への回帰と呼ぶ。そして、その記憶はアジアにおける農耕発祥の地である中国の黄河、長江地域から伝わったものだと述べる。

農耕民族にとって、土は生活と文化の根源だ。土から生み出される農産物を食べ・蓄え・加工し、他の財物と交換することによって、社会が成り立つ。土中にある翡翠やメノウに価値を見出して尊ぶ中国の文化も、スズキ氏が追求している芸術と同じく、土に対する畏敬の念と愛着を原点としている。

同展では、スズキ氏の作品と、中国の高名な玉石彫刻家18名による作品約100点を展示する。

セツ・スズキ氏と中国の彫刻家18名による作品

「地神 Earth Spirit」。大地の底から這い出してきた破壊と創造を繰り返す神。イエローカラー、丸みを帯びたかわいらしいフォルムとは対照的に、不条理の人間世界をあざ笑うかのようだ。

「ラカンタワー RAKAN Tower」。一つひとつ異なる顔をもつラカン。土自身が「この顔にしてほしい」と語りかけてきたそのままの形が表現されている。「土から生まれるいのち」そのものを表現したスズキ氏の代表作。

「雪山の寒苦鳥 Kankucho of Himalayas」。スズキ氏の初期の作品シリーズ。ありのままの姿を詩的に表現したと評価を得た記念碑的作品。

「ラカン10 RAKAN Ten」。巨大な10の面が整然と並び、圧倒的なエネルギーが感じられる。

「五感(1)Five Senses1」。滑らかなフォルムとは対照的に、研ぎ澄まされたセンシティブな感情を呼び起こさせる作品。

「中国玉石作品」。高度な技術をもつ中国の彫刻家18名による翡翠やメノウなど玉石彫刻作品。玉石そのものの美しさはもとより、ありのままの姿を生かした見事な彫刻は、芸術性の高い伝統工芸品として大変人気がある。

セツ・スズキ氏と玉石彫刻家たちによる、繊細な石彫技術と斬新なデザインは、見るものに大きな感銘を与えることだろう。「土から生まれるいのち」という共通項のもと、日本の前衛アートと中国の伝統的な石彫芸術のコラボレーションを堪能したい。

土から生まれるいのち -彫刻家セツ・スズキと中国玉石作品展-
会期: 3月5日(火)~3月24日(日)
会場:日中友好会館美術館
所在地:東京都文京区後楽1-5-3
開館時間:10時~17時 ※3月8日(金)・3月15日(金)・3月22日(金)は20時まで
入館料:無料
休館日:月曜
公式サイト:https://jcfcmuseum.jp/events/event/2024-01/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000099851.html

(高野晃彰)