あらゆる分野で忘れがたい写真を残し、日本の写真史に大きく名を刻んだ報道写真家・土門拳の作品を集めた展示「土門拳の古寺巡礼」が、3月18日(土)から5月14日(日)まで東京都写真美術館にて開催される。
永遠の光を放つ名作の数々を、自身の目で確かめてみてはいかがだろうか。
全国を巡り仏像を撮影した古寺巡礼
山形県出身の写真家・土門拳は、ドキュメント・人物・古美術・建築・風景といったあらゆる分野において、人々の心を掴む作品を残した。そして、ライフワークであった『古寺巡礼』の第一集が刊行された1963年から、今年でちょうど60周年を迎える。
戦前から晩年まで仏像行脚を続けてきた土門は、みずから足を運んで選んだ古寺や仏像を徹底的に凝視して撮影をおこなった。建築や仏像の細部までクローズアップして捉えるその独自のスタイルは、一度見た者の心を掴んで離さない。
『古寺巡礼』の刊行途中に脳出血で倒れた土門は、車椅子生活となりながらも不屈の精神で古寺や仏像の撮影を続行した。同作品は1975年に第五集をもって完結している。
今回の展示「土門拳の古寺巡礼」ではカラーの代表作と、土門が古寺巡礼を始めるきっかけとなった室生寺の弥勒仏坐像をはじめとした重量感のある木彫仏を中心に、モノクロームの仏像写真など合わせて約120点が展示される予定だ。土門が対象の本質に迫りながら撮影した、力強く個性的な「日本の美」を堪能できる。
日本を代表する報道写真家・土門拳
1909年に山形県酒田市に生まれた土門は、1935年に日本のグラフ・ジャーナリズムを切り拓いた「日本工房」に入社。以来、脳血栓で倒れる1979年まで、約45年にわたり報道写真家として激動の日本を撮影し続けた。これまでに『古寺巡礼』をはじめ、『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『風貌』といった数多くの名作を世に送り出している。
1939年に初めて奈良県の室生寺を訪れて以来、その美しさに魅了され、戦中も全国を巡りながら仏像を撮影。1960年に脳出血で倒れてからは、これまでの35ミリカメラの使用が困難になり、車椅子に乗りながら大型カメラを使用して『古寺巡礼』の撮影を続けた。
不朽の名作の数々が展示される「土門拳の古寺巡礼」。写真集ではなく展示作品として見ることで、写真をより美しく、より力強く感じ、圧倒されることだろう。
土門拳の古寺巡礼
会期:3月18日(土)〜5月14日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室 ※恵比寿ガーデンプレイス内
所在地:東京都目黒区三田1-13-3
開館時間:10時〜18時 ※木・金曜日は20時まで
休館日:月曜日 ※ただし、5月1日(月)は開館
料金:一般 1,100円 ※同館の映画鑑賞券提示者、各種カード会員は880円
(kyoko.)
※障害者手帳所持者とその介護者(2名まで)は無料
※各種割引の併用不可