職人の技術とデザイナーの表現力を融合。
乗富鉄工所が開発したこれまでにない木のピザ窯「アップダウングリル」が、応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」で目標金額の600%を超える応援を集め注目されている。プロジェクト実施期間は11月29日(火)までなので、まだまだ伸び代がありそうだ。
経営危機を乗り越えるべく始まった、乗富鉄工所の挑戦
乗富鉄工所は、福岡県柳川市に本社を置く創業75年の鉄工所だ。
鉄工職人の幅広い技術と知見を武器に水門、歩道橋、階段、建設機械部品などさまざまな金属製品を製造してきたが、最盛期を支えた職人たちが次々に定年を迎えた2017年から2020年にかけて、若手を含む社員の1/3が離職。
そんな経営危機の最中の2017年に、3代目の乘冨賢蔵氏は家業に戻ってきた。彼は鉄工職人を「メタルクリエイター」と呼称し、職人の技術と発想を生かした自社商品開発に着手した。
ピザ窯を“木”と“金属”で作るという発想から商品が誕生
「普通はレンガやセラミックで作るピザ窯を木と金属で作ったら、安全で持ち運びもできるのではないか」
そんなメタルクリエイターのアイデアから生まれた画期的なプロトタイプと、デザイン会社「ゲイトライトデザイン」の関光氏のデザインをベースに作り上げたのが「アップダウングリル」だ。
キャンプといえばバーベキューだが、アップダウングリルがあれば1台で焼く・煮る・揚げる・炊く・茹でると、どんな調理法も思いのまま。下部(ダウン)のオーブンでピザを焼きながら、上部(アップ)の炭床でバーベキューを楽しめる。
本格的なピザを焼くには窯内部を350℃以上の高温状態にする必要があるが、同窯は内部が高温でも表面は危険な温度にならない。
使い方も炭に火をつけるだけとシンプル。着火後約30分でオーブン内部は350℃以上の高温状態になる。ステンレス製の窯部部は取り外し可能で、後片付けも簡単。オプションの蓋には消火機能がついている。さらに、持ち運びもできるコンパクトなサイズ感も魅力だ。
このような製品には前例がなく、金属の熱変形や木材の不燃対策など検討事項は非常に多かった。同所も、さまざまな専門家や地域の町工場仲間の協力を得ながら試作と実験を繰り返し、2年の歳月をかけて完成に至った。
炭を燃料とするため煙が少なく、庭や縁側でのホームパーティや友人とのキャンプ、同僚とのバーベキューなど、さまざまなシーンで活躍する。アウトドアシーンをよりグルメに彩るアイデア商品と言えそうだ。
アップダウングリル
本体サイズ:幅40cm×奥行40cm×高さ28 cm
重量:本体14kg、消火蓋テーブル2kg
材質:ステンレス(SUS304)、アルミ、木(ホワイトアッシュ)
Makuakeプロジェクトページ:https://www.makuake.com/project/norinori_updown_grill/
(IKKI)