美術家・建築家の荒川修作とマドリン・ギンズによる住宅が、コロナの影響で存続の危機にある。そんな歴史的建造物を守るためのクラウドファンディングが、MotionGalleryで9月13日(月)よりスタート!
■三鷹天命反転住宅の天命を反転させたい!
東京都三鷹市にある「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー」は、荒川修作とマドリン・ギンズが設計した、全9戸からなる世界で初めての集合住宅。一部を賃貸住宅として、一部を教育・文化プログラムを世界へ発信するスペースとして活動してきた。
2020年、天命反転住宅は大掛かりな修繕計画を進める予定だったが、新型コロナウィルスの影響で全イベントが中止、利用者は激減。このままでは天命反転住宅を体験する機会を失うと同時に、建物にとっての危機が増してゆくばかり。
そこで、今回、天命反転住宅の天命を反転させるべく、初の試みとしてクラウドファウンディングを実施することになった。
■設計者・荒川修作+マドリン・ギンズ〜芸術から建築へ
荒川修作(1936-2010)とマドリン・ギンズ(1941-2014)は1962年にニューヨークで出会って以来、協働でさまざまな表現活動を行ってきた。特に荒川は現代美術の父と言われるマルセル・デュシャンの知遇を得て、国際的に活躍を続ける。そのテーマは一貫して、生命とは?そして身体が中心となる世界をどうしたら創れるだろうか、ということだった。
二人が芸術から建築へと表現活動を移行してからは、奈義町現代美術館の「太陽」の部屋、養老天命反転地など、我々のカラダが中心となる建築作品を発表。アニメ監督の宮崎駿さんと荒川との対談で、「養老天命反転地のような遊園地をつくりたい」と宮崎さんにラヴ・ コールをもらった荒川は「遊園地なんて絶望を作るだけだ…(中略)…オレはちゃんと生きられる街を作るんだ」(宮崎駿, 養老孟司 対談『虫眼とアニ眼』徳間書店、2002年)と言ったが、その念願の「家」として2005年に完成させたのが、この三鷹天命反転住宅だ。
■更に多くの人に使ってもらう機会を増やす
わずか9戸からなる天命反転住宅ゆえ、住むことは叶わなくても見学したい、あるいは何かの機会に体験したい、という声は竣工以来多く寄せられていた。そこで、まだ入居が決まっていなかった2部屋を使って体験できるイベントを開催。ワークショップの場や定期的な建築見学会、ショートステイプログラムが行われている。
三鷹天命反転住宅を生活の場として、世界初の「死なないための住宅」として、 そして荒川修作とマドリン・ギンズという類まれなる芸術家の作品として、未来に継承しなければならない。それは、荒川とギンズが唱えた”Museum of Living Bodies”(あなたの身体と生活が作品となる美術館=天命反転の街)の第一号としての使命だ。
プロジェクト期間:12月10日 23:59まで
URL:https://motion-gallery.net/projects/savetherdloftsmitaka/
画像提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所© 2005 Estate of Madeline Gins.
(田原昌)