日本初、美大によるSDGs時代の廃棄物循環型経済モデル「すてるデザイン」始動

“つくる”から、“すてる”までを考えたデザインを、美大と企業の共創プロジェクトにより始動した。

多摩美術大学は、モノファクトリーと企業5社と連携し、循環型社会に向けた共創プロジェクト「すてるデザイン」を立ち上げた。

共創プロジェクト「すてるデザイン」は、企業の産業廃棄物に新しい価値や意味を与える、美術大学によるサーキュラーエコノミーに向けた新しい取り組み。東京ミッドタウン内に開所したTama Art University Bureau(以下TUB)を拠点にした活動だ。

■美大によるサーキュラーエコノミーに向けた新しい取り組み

TUBは、“まじわる・うみだす・ひらく” をコンセプトに、様々なステークホルダーや企業、社会人と行うオープンイノベーションによる新しい価値創出、デザインやアートの力を社会に対して開いていくことを目的としている。

今回、オープンイノベーションの第一弾のテーマとして、モノファクトリーをハブにしながら、伊藤忠リーテイルリンク、ナカダイ等と一緒に、複数社と連携した社会課題解決型のプロジェクトに臨む。

 

■“すてる”を考え、社会や産業を支えていくデザインへ

大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアな経済から、循環型経済(サーキュラーエコノミー)へという掛け声や脱炭素社会の重要性が声高に叫ばれているにも関わらず、解決できている事例は世界的にもほとんどない。今までは無限に捨てることが可能という前提で、社会の仕組みが成り立ってきたからだ。

そこに変化をもたらすことができるのは、デザインの持つ創造的な力。膨大な廃棄物も見方を変えれば、産業を支える重要な資源。“つくる”ことで産業を支えてきたこれまでのデザインから、“すてる”を考え社会や産業を支えていくデザインへ。無理を強いるのではなく、創造的な仕組みやライフスタイルを生み出していく。希望ある未来をつくっていく“すてるデザイン”がここからはじまる。

■デザインの力を通じて廃棄物の発生抑制や捨て方自体を根本から変える

廃棄物輸入規制の影響や土地面積が狭いため、廃棄する場所が限界にきているなど、日本が抱えている課題が。

そこでこのプロジェクトでは、デザインの力を通じて廃棄物の発生抑制や捨て方自体を根本から変えることを目指す。産業廃棄物の処理に長く関わり、リサイクル率99%を実現しているナカダイ。そのコンサルティング部門として独立したモノファクトリーをハブにしながら、廃棄物の課題と真摯に向き合っている企業と協働しながら、前例にとらわれないデザインの持つ創造的な力を活かして新しい価値を創出や課題解決をしていく。

共創プロジェクト「すてるデザイン」は、プロダクトデザインを専攻の学生の授業のプログラムを中心にしながら、学科横断の有志による取り組み、有識者のレクチャーによる学びの機会の提供、またこの活動や成果を社会に広げ、イベントの開催などを予定している。

デザインする機会として、「すてたモノをデザインする」「すてる前提をデザインする」「すてる前提をデザインする」の3フェーズで活動する。

デザイン、アートまで含めたクリエイティブな力で、サーキュラーエコノミーに取り組むプロジェクトに注目したい。

多摩美術大学 TUB:https://tub.tamabi.ac.jp/

(田原昌)