チェコの首都・プラハの南にTábor(ターボル)という街がある。規模的には小さな街ではあるが、チェコの歴史においてとても重要な場所である。
そんなターボルの街を、ぐるりと巡ってみた。
ターボルの駅は旧市街地の端にあり、街の中央には教会と大きな広場、そして駅に対して反対の端に城が建っている典型的な街の構造だ。
まずは中心部である中央広場へ。ここには教会と、「フス戦争」で活躍したヤン・ジシュカの像が立っている。午前中は霧が立ち込め、中世の雰囲気抜群だ。
この中央広場に面しているのが、「フス派博物館」。フス戦争の歴史が学べる他に、ここをスタート地点として巡ることができる地下ツアーがある。時間があったら、ぜひ参加してみたい。チェコ語のツアーのみだが、事前に学べるリーフレットもあり、また見学するだけでも面白い。
ターボルの地下道は3層構造になっており、写真にあるタイル画にある赤い線のように、中央広場をぐるりと回ってつながっている。食料倉庫がだんだんと広がり、やがてビール醸造にも使われたそう。街が火災に遭ったときには、避難所としても使われていたのだとか。かなりの長さと複雑な構造をしていた。
街の端にある城跡には、この街への入り口となる門が残されている。門には、この街の紋章がついていた。
塔に登れたら景色が良さそうだが、今回は残念ながらオープンしていなかった。
さて、旧市街に残された古い建物を見て回るのも、この街の面白さ。
窓際に美しい絵を描いているものや、陰影をつけ、まるで立体的であるように見せかける「だまし絵」的な手法もよく見られ、これらは壁の漆喰を削って描く「スグラッフィート」と呼ばれるものだ。
今でも住んでいる(使われている)建物にも多く見られるので、街歩きをしながら壁も要チェックだ。
昼を過ぎると霧はすっかり晴れて、まるで別の街に来たよう。すっきりとした青空に教会の塔が映える。
広場を通り過ぎてそのまま歩いていくと、ヨルダン湖に出た。この湖の脇を歩けば、また駅に戻る。
コンパクトにまとまっていて1日あればぐるりと回れてしまう街だが、落ち着いていて素敵な街である。プラハから、ちょっと足を伸ばして訪ねてみたい。
※2020年5月現在、欧州各国では出入国の制限をしています。旅行の際は必ずご確認を。
(田原昌)