奈良の紅葉の名所 正暦寺「福寿院」客殿から見る借景庭園

奈良市東南の自然豊かな山間に佇む「正暦寺(しょうりゃくじ)」。正暦3(992)年、一条天皇の発願により、関白九条兼家の子兼俊が創建した。

正暦寺の境内には、3,000本を超える楓があり、11月になるとその楓や銀杏が紅葉し素晴らしい景色が広がる紅葉の名所でもある。

駐車場から本堂へ向かう参道の手前右手に建つのは国の重要文化財である「福寿院」。

 

延宝9(1681)年に建替え・建立された上壇の間を持つ数寄屋風客殿建築で、ご本尊は奈良県指定重要文化財の孔雀明王像。

京狩野3代目 狩野永納筆の襖絵や正暦寺の大自然を見渡す借景庭園、護摩堂が拝観できる。

 

福寿院の借景庭園では正暦寺の自然を借景として四季折々に美しい景観を堪能できる庭。

客殿の縁側に座り静かに庭を眺める贅沢な時間はゆっくりと流れる。

 

客殿から護摩堂へ続く渡り廊下からの景色も美しい。

 

「日本清酒発祥の地」と言われる場所のひとつ、正暦寺。

 

荘園で採れた米を使って僧達が「僧坊酒」を作るようになったことが始まりと言われる。

仕込みを3回に分けて行う「三段仕込み」や麹と掛米の両方に白米を使用する「諸白(もろはく)造り」、腐敗を防ぐための火入れ(加熱殺菌)作業を行うなど、近代醸造法の基礎となる酒造技術が確立された場所として有名である。

酒造りは今も行われており、正暦寺で仕込んだ酒母を用いて醸造した日本酒(菩提もと仕込み清酒)を福寿院で販売している。拝観の帰り際に日本清酒発祥の地のお酒を入手してみては。

 

正暦寺では春・秋・冬の年3回、本尊薬師如来倚像を一般公開する。令和元年の秋季特別公開は11月3日から12月1日まで。

駐車場は11月初旬から12月初旬の紅葉シーズンのみ有料となる。

 

正暦寺 所在地:奈良市菩提山町 157番地

 

(小椚萌香)