緑に包まれた修験の霊場・信州「戸隠神社」を歩く

素盞嗚尊(すさのおのみこと)が暴れたことにより、天の岩戸に隠れてしまった天照大神(あまてらすおおみかみ)。その天照大神を岩戸から出した神々を祀っているのが、戸隠神社(とがくしじんじゃ)である。

創建は二千年を超えると言われる、歴史の長い神社だ。

現在の戸隠神社は、「奥社」「中社」「宝光社」「九頭龍社」「火之御子社」の五社からなっており、全てをめぐる「五社巡り」もある。御朱印巡りもできるので、体力と時間に余裕があれば試したい。

戸隠神社のメインは、何と言っても「奥社」。天照大神が天の岩戸に隠れている時に外をのぞいた瞬間、その岩戸を怪力で開いた神様「天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)」が御祭神だ。

今も多くの参拝客が訪れる戸隠神社の奥社。大鳥居をくぐり、まっすぐに続く参道を歩く。

道の脇には水が流れ、鬱蒼と茂った木々の間から光が差し込み、とても心地よい。夏の暑さを忘れさせてくれるような爽やかさだ。

やがて「隋神門」に到着。茅葺き屋根にはシダや様々な植物が生えていて、実に雰囲気のある門だ。

そしてこの門で参道の約半分となる。これから先が本番だと教えてもらった。

隋神門から先は杉並木になっている。

約220本もの大きな杉の木が、まるで日光の杉並木のように参道の両脇にずらりと並ぶ姿は圧巻だ。この山道を通る人間たちをずっと見守ってきたような、長い歴史を感じさせる。

杉並木を超え、長くて勾配のある石段を登り切れば、そこにあるのが九頭龍社と奥社。登りきった感動がある。

あまり大きくはない社殿だが、九頭龍社は戸隠神社の中ではもっとも古いものだそうだ。

戸隠神社は山の中だけに修験道の場として有名だが、街中の喧騒から離れ、背の高い木々に圧倒されつつ緑に囲まれていると、心が解放されるような不思議な気持ちになる。

信仰の場として多くの人々が尊崇するのも、緑豊かな自然あってのことだろう。良い季節を選んで、参拝してほしい。

(田原昌)