京都嵐山に建つ世界遺産の天龍寺は、後醍醐天皇の菩提を弔うため暦応2(1339)年に創建され、嵐山や渡月橋、亀山公園なども含め広大な敷地を有する寺であった。
火災などによる度重なる焼失、復興、上地などを経て境内地は現在の3万坪に縮小した。
阪急嵐山駅方面から向かうと、渡月橋を渡ってメイン通りを少し行ったところ左手に天龍寺の入口が見えてくる。
境内には、法堂、庫裏、大方丈・小方丈、龍門亭、友雲庵、祥雲閣・甘雨亭、多宝殿、僧堂、精耕館などの建築物と曹源池庭園(そうげんちていえん)、百花苑などの庭園が広がる。
切妻造の屋根下の大きな三角形の壁が天龍寺景観の象徴ともなる「庫裏」。庫裏では大胆な構図の「達磨図」を見ることができる。
法堂には釈迦三尊像が安置され、日本画家加山又造画伯による「雲龍図」が天井に描かれる。雲龍図の公開は土日祝日と春・夏・秋の特別参拝期間のみで、行事により参拝できない日もある。
大方丈のご本尊は重要文化財でもある釈迦如来像。天龍寺が受けた8回の火災にも罹災しなかった仏像で、天龍寺に祀られる仏像の中で最も古い像となる。
襖には物外道人による雲龍の絵(レプリカ)が描かれている。
大方丈から見渡せる庭園が夢窓疎石の作庭の曹源池庭園で曹源池を中心に巡ることができる池泉回遊式庭園。右から愛宕山と小倉山、正面に亀山、左手の嵐山までを借景としている。
龍門亭では「篩月(しげつ)」が提供する精進料理をいただける。メニューによっては予約が必要となるものも。
百花苑では紫陽花や半夏生の花が満開を迎えていた。
途中、硯を模した大きな硯石が設置されていた。拝むと書画が上達するとの言い伝えがある。
百花苑を抜けて北門から出ると嵯峨野の竹林の道。大河内山荘や常寂光寺、落柿舎などへと通じている。
諸堂(大方丈・書院・多宝殿)拝観料は、庭園(曹源池・百花苑)参拝料に追加料金が、法堂「雲龍図」特別公開は別途参拝料が必要。
所在地:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
(小椚萌香)