世相を反映する食文化。
2018年を象徴する「今年の一皿」として、「鯖(さば)」が選ばれた。
優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するという目的で2014年から開始されている、ぐるなびの「今年の一皿」。
ビッグデータをもとに、「その年に流行または話題になったこと」、「その年の社会の動きと関係が深く世相を反映していること」、「食文化の記録として後世に受け継ぐ価値があること」の3つの条件を満たしているものとして、「鯖」が「今年の一皿」として承認・決定した。
■2018年「今年の一皿」「鯖」
1)「鯖缶」の注目により、魚食文化の良さを再認識
多くの災害に見舞われた一年であり、「非常食」として優秀。また、従来のイメージをくつがえす洗練されたデザインの「おしゃれ鯖缶」や、原料にこだわった「プレミアム鯖缶」は女性たちの注目も集めた。
2)ブランド鯖の認知向上と、外食での普及拡大への期待
3)持続可能な漁業の推進と、魚食文化の振興
2014年に太平洋クロマグロ、ニホンウナギが相次いで絶滅危惧種に指定されたことを受け、持続可能な水産資源の活用について関心が高まった。
また今年は築地市場が豊洲へ移転したこともあり、次の時代にむけて日本の魚食文化を考える節目の年となった。
■準大賞「しびれ料理」
中国原産の花椒(ホアジャオ)を使用することで、食べた後に口内で新鮮な刺激を感じる料理の総称。
猛暑により花椒を使用した料理を楽しむ「マー活」や「しび活」という言葉が生まれるなど、盛り上がりを見せた。
■ノミネート「高級食パン」
原料の質や産地にこだわり、職人達が独自の製法で焼き上げる高品質・高価格な食パン。
従来の「トーストして食べる」という概念を覆し、そのまま食べる「食パン」が人気を集めた。
■ノミネート「国産レモン」
生産量第1位の広島県をはじめとし、愛媛県など、西日本を中心に栽培されている。
ここ数年のレモンサワーのブームから、栽培方法によっては皮ごと使用できる「国産レモン」に注目が集まった。また、それらを使用した菓子なども多く商品化され、その存在も広く認知されてきている。
「食」というのは、その国にとって大切な文化の一つ。来年は、どのような食が流行するのだろうか。
(田原昌)