新潟から食文化を伝える“雪国ガストロノミー”をご存じだろうか。
雪国ガストロノミーとは、毎年3メートルもの雪が積もる雪国の食文化に名付けられたもの。半年近く雪に閉ざされる冬を越すための知恵は、食に色濃く顕れ、今も息づいている。早春から晩秋にかけて採取した山野の恵みを塩漬けや乾燥品、発酵食として蓄える食文化は世界に誇れるものであろう。
そして、旬の食材を実際に収穫しながら食や文化に触れ、地域に昔から根づいたこの雪国ならではの食文化、雪国ガストロノミーを体験する滞在プログラムが、“雪国ガストロノミーツーリズム”だ。
1953年に温泉旅館として創業し、2005年10月に世界に日本の価値観を発信することを目指してリニューアルオープンした「HATAGO井仙」では、山の幸収穫ツアーとして、年に2回、10月下旬から11月下旬まではキノコ狩り、4月下旬から5月下旬までは山菜狩りの宿泊を含めた体験型プランを提供。雪国ガストロノミーを体感できる。
専門家が同行して自然の中で学びながら収穫したものを、メインダイニング「むらんごっつぉ」のオープンキッチンで、料理人がデモンストレーションを行い、目の前で調理をしたものをいただく。
店名の「むらんごっつぉ」とは、村のごちそうという意味。田んぼの人、畑の人、川の人、作っている人たちと直接繋がっているからこそ、その思いや新鮮さをきちんと届けることを意識して名付けられたという。
メニューは、プレミアムコース(1万2,000円)、フルコース(8,000円)、セミコース(6,500円)の3コースを用意。山菜やキノコなど、その時期にした味わえない郷土の旬と新潟を代表する肉や野菜を和食のコースで提供する。
その特徴をご紹介。
■魚沼産コシヒカリ
魚沼産の中でも最もおいしいと言われている塩沢地区のコシヒカリ。契約農家が作った減農薬のお米を直接受け取り、毎日、店内の一角にある釜で炊き上げている。
■県産素材に限定したHATAGO味噌
新潟県産のエンレイ大豆に魚沼産コシヒカリの麹、笹川流れの塩を使って仕込んだ正真正銘、新潟県産の味噌。昔ながらの天然醸造にこだわる魚沼の木津醸造所で特別に作っている。
■ 醪で仕込んだ本醸造の醤油
砂糖やアルコールを一切添加せず、醪(もろみ)から醸造するという昔ながらの方法で作られている醤油を使っている。
■ 新潟のお酒
地元の食材に合わせて、地元のお酒を用意。味を知り尽くした利酒師が料理との相性を提案する。青木酒造×HATAGO井仙のオリジナル「宿酒仙七」は年間800本しか作らない希少な日本酒。
料理人との対話を楽しみながら、地域の食文化、雪国ガストロノミーに触れてみてはいかがだろうか。
『HATAGO井仙』
所在地:新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2455
アクセス:JR越後湯沢駅 西口ロータリーすぐ前
客室数:全16室 ※チェックイン 14時~、チェックアウト ~11時
料金:1泊2食付 2名1室一人あたり 1万6,000円~(税別・サ込)
『むらんごっつぉ』
所在地:新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢2455 HATAGO井仙 2階
営業時間:朝ごはん7時30分~9時30分、ランチ11時30分~14時30分、ディナー(2回転営業)18時~、19時30分 ※朝食、ディナーは要予約
定休日:水曜日(朝、ランチ)/年中無休(ディナー)
(R.Hirashima)