𠮷田多麻希さんの写真展「Brave New World」が東京・麹町で開催。野生の獣と人との関係性を問う

写真を通し、野生の獣たちと人間の関係を探る。

東條會舘が初の展覧会として、𠮷田多麻希さんの写真展「Brave New World」を東京都千代田区麹町にある東條會舘写真研究所にて開催中だ。

野生動物と人の関係を問う「Brave New World」

𠮷田さんは野生の獣たちを通じて、人間と自然の共存を考え続けてきた。一方、東條會舘は100年以上にわたり、人の姿をポートレートに収めてきた。

そんな二者が出会い開催される「Brave New World」では、東條會舘写真研究所の暗室と、銀塩写真制作に欠かせない水の調整が行われていた地下室の2つの空間で、儚くも勇ましい獣たちの姿を披露。深いメッセージをゲストに語りかける。

暗室では、人が思う理想の自然像を閉じ込めようとした「写真のプロセス」と、「被写体として捉えられた獣たち」が共演。一方地下室では、獣たちが“理想の画”から抜け出し、ありのままの混沌とした姿で生きる姿を華やかに描き出す。

𠮷田多麻希さんは、フィルム現像作業の失敗から着想を得て、洗剤や歯磨き粉などの薬品をフィルム現像に混ぜる独自の手法を用いた作品を展開している。“理想”をあえて崩すこの手法自体も、彼女からのメッセージの一つといえるだろう。

吉田さんは同展や、今を生きる野生の獣たちについて次のようにコメント。

「ここに写る生き物はさまざまな環境に適応しながら、したたかに命を紡ぎ人間の生活を脅かす、日本では『害獣』として扱われる生き物である。

これらの生き物や植物は強い。人が生活できなくなった原発事故の立入禁止区域が野生生物の楽園と化している様に、一個体の命は短くなったとしても、その環境にしっかりと根付き・生き、繁栄している。

人は生きやすく繁栄できる理想を追い求め、あらゆる手段やルールを生みだしてゆくが、その行き着く先この地球上で強く生きているのは、十分に高度な化学や技術を発達させた私たち人類ではなく、もしかしたらここに写る何も持たない強き生き物なのかもしれない」

人間が自然を破壊し続ける中で、「Brave New World」は人間と野生生物の共存と闘いを描き出し、未来について問いかけている。この貴重な機会を逃さず、今秋は東條會舘写真研究所まで足を運んでみてほしい。

Brave New World
会期:開催中〜10月9日(月・祝)※月・火曜日は閉館
開館時間:13時〜19時(土・日・祝日のみ/水・木・金曜日は前日17時までの予約制)
会場:東條會舘写真研究所
所在地:東京都千代田区麹町1-6-12 5階・地下1階
入場料:無料

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000115847.html

(IKKI)