愛猫家・藤⽥嗣治が微細に描いた猫たちを一挙掲載した一冊『藤田嗣治 安東コレクションより 猫の本』

世界文化社は、書籍『藤田嗣治 安東コレクションより 猫の本』(軽井沢安東美術館・編)を、7月2日(日)に発売した。

藤田嗣治が描いた、かわいらしい猫の絵を掲載する同書。藤田に関するコラムも掲載されており、猫好き・アート好きの人たちは必見だ。

画家・藤⽥嗣治が描いた愛すべき猫たち

世界で初めて「藤田嗣治の作品だけを展示する個人美術館」として開館した軽井沢安東美術館。その世界屈指のコレクションの中で、蒐集の原点となったのは猫の絵だった。

⽇本を、そしてエコール・ド・パリを代表する画家・藤⽥嗣治(1886年~1968年)は、その画家人生の中で長きにわたり猫を描いた。彼の絵には、自身で猫を飼い、ともに暮らし、日々観察していたからこそ描くことができる「気づき」にあふれている。

愛すべき猫たちのふとした仕草を、ひげを、肉球を巧みに、そして緻密に描き出した藤田。毛並みの一本一本まで繊細に線をひき描かれた猫たちに出会えば、目も心も幸せになるに違いない。

可愛らしい猫の絵と解説で構成される、藤田の猫の本

それでは、同書の主な内容を紹介しよう。「はじめに すべてはこの一枚から始まった」から、同書はスタートする。そして、「巻頭企画」は、ニューヨークで誕生した名作『猫の教室』。

「第1章 “猫”」は、安東コレクションの原点であり、核心でもある「猫」たち。美術館オープン後に新たに収蔵された作品も含め紹介する。

「第2章 “少女と猫”」は、安東コレクションの大きな特色の一つでもある、1950年代以降に描かれた「猫を抱いた少女」の絵。蒐集作品をすべて収載して解説する。

「藤田クロニクル」では、藤田の生涯の歩みと、激動の時代の動きを俯瞰。藤田の動きの「なぜ?」がわかる記事だ。

「人間藤田の心のうち」では、極めて人間臭い画家だった藤田氏が、折々に垣間見せた昂揚・いらだち・決意といった感情を、彼の言葉から知る。

「失意からの解放、希望へのフライト」は、片道切符で羽田から旅立った1949年の旅立ちを、写真と藤田の言葉で綴る。そして、終章の「おわりに 我が最愛の“赤い部屋”へ」で完結する。

同書には、藤田とその作品にまつわるコラムを掲載。執筆陣は、札幌芸術の森美術館館長の佐藤幸宏氏、美術史家・兵庫県立美術館館長の林洋子氏、女優・エッセイストの室井滋氏だ。

『猫十態』や『猫の教室』などを掲載

掲載作品についても一部紹介したい。まずは1929年の『猫十態』だ。『猫十態』は藤田の水彩画をもとに、パリのアポロ社より1929年に出版された版画集である。マカール法と呼ばれるドライポイントやエッチング等を組み合わせた混合技法で100セットが刷られた。その他、若干数の特装版もある。

10種のポーズで生き生きと描かれた猫。その柔らかな色合い、細密な猫の毛の表現からは、体温までもが伝わってきそうだ。

そして1949年の『猫の教室』。この作品の中の猫たちは、人間のように学校の教室で勉強をしている。質問をする教師、真面目に答えている子、後ろを向いている子、ケンカをする子たち、床に寝そべる子や、どうやら早弁をしている子までいる。ありふれた日常の楽しい教室の一コマは、平和が回復した時代への喜びを伝えているかのようだ。

面相筆を使って描かれた細かいひげや猫の毛なみのディティール、ユーモアあふれる猫たちの表情など、藤田が得意とする猫の表現が、あますところなく描かれている。

軽井沢安東美術館の新収蔵作品まで、余すところなく収載した同書は、猫好き・アート好きの人々にとって、かけがえのない書となるだろう。

藤田嗣治 安東コレクションより 猫の本(軽井沢安東美術館・編)
定価:2,860円(税込)
発行:世界文化社
Amazon販売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4418232125

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001534.000009728.html

(高野晃彰)