レザーの街・草加で篠原ともえさんデザインのエゾシカ革着物「THE LEATHER SCRAP KIMONO」一般公開中

埼玉県草加市は「革の街」だ。皮革の産地として100年近くの歴史があり、約160社、1600人ほどが関連産業に従事する。

現在、草加市文化会館内の伝統産業展示室にて、篠原ともえさんがデザインした「THE LEATHER SCRAP KIMONO(ザ レザースクラップ キモノ)」の一般公開を行っている。国内外で高い評価を得た作品の里帰り展示となる。

エゾシカ革の着物「THE LEATHER SCRAP KIMONO」

“皮”から“革”へ。自然から預かった大切な素材を無駄なく活かす方法を追求してきたという草加レザー。牛や馬、ヒツジ、ヤギ、シカ、豚、ワニなどの爬虫類、サメにいたるまで多種多様な革素材と加工品を全国に送り出している。

時代とともに新しい技術の発展にも取り組んでおり、たとえば「米ぬかなめし」は、なめし剤に米ぬか油を使うことで完全に土に還すことのできるエコロジカルなレザーだという。

エゾシカ革の着物「THE LEATHER SCRAP KIMONO」は、日本タンナーズ協会「革きゅん」プロジェクトの一環としてつくられた作品だ。害獣として捕獲されたシカの皮の有効活用を考える中での試みだった。

デザイナー・篠原ともえさんとクリエイティブチームにより2022年2月に制作・発表。世界で最も古い広告デザインの国際賞であるニューヨークの「The ADC Annual Awards」において、ブランド・コミュニケーション部門でシルバーキューブ(銀賞)、ファッションデザイン部門でブロンズキューブ(銅賞)の2部門を受賞。

さらに国内でも、2022年度東京ADC賞に選ばれた。国内外で高い評価を得た制作物の「実物を見たい」という声を受け、“メイド・イン・草加”作品の帰郷が実現した。

記念動画「HOMECOMING to Soka city」公開

今回の展示に併せて、記念動画「HOMECOMING to Soka city」の公開も行っている。SOKA LEATHERのWEBサイトやYouTube、伝統産業展示室で視聴可能。動画の中では篠原ともえさんが草加市での展示の設営を行う様子も見られる。

草加市の皮革加工の歴史と代々受け継がれる繊細な技巧について、篠原ともえさんからは「革の加工から商品づくりまで一貫して生産できるこの地だからこそ、今回のような作品をつくり上げることができたと思っております」というコメントが寄せられている。

身近にある革製品も、もしかしたら草加市由来の素材が使われているかもしれない。現地を訪れてじっくり作品を鑑賞するほか、遠方からでもインターネットを通じて草加市の伝統産業に触れられる。篠原ともえさんの卓越したデザインも必見だ。

「THE LEATHER SCRAP KIMONO」展示
期間:3月31日(金)まで ※延長の可能性あり
会場:草加市文化会館 伝統産業展示室
所在地:埼玉県草加市松江1-1-5 1F 伝統産業展示室内
開室時間:10:00~17:00
入場料:無料
SOKA LEATHER公式サイト:https://soka-leather.jp/homecoming/
YouTube動画:https://www.youtube.com/watch?v=BF4HBHSf5jg

(SAYA)