盛会裡に終了、ポルトガルの食とワインを楽しむ「A VIAGEM ― ポルトガルへ 食とワインの旅 ―」

遠く大航海時代から交流を重ね、歴史的にも文化的にも日本と縁の深いポルトガル。

去る10月6日(木)、ポルトガルの非営利団体「AGAVI(アガヴィ)」はマゼラン世界周航500年を祝し、「A VIAGEM ― ポルトガルへ 食とワインの旅 ―」と題したプレスイベントを駐日ポルトガル大使公邸で開催。参加者に同国の食とワインを紹介した。

ポルトガルの食文化を支える非営利団体「AGAVI」

ポルトガル第二の都市“ポルト”に本拠地を置く「AGAVI」は、ガストロノミー、ワイン、地域製品および生物多様性を促進する非営利団体だ。

地域に根ざした食とワインの普及のため、生産者や企業と協力して多様なイベントを主催。創立メンバーには起業家協会のほか、ポルトガル国内のさまざまな地域の代表が名を連ねる。

当日振る舞われた料理とポルトガルワイン

当日は前菜からデザートまでのフルコースとともに、ワインのテイスティングが行われた。

ワインをセレクトしたのはWine in Motion代表の別府岳則DipWSET*。料理はポルトガルの人気レストラン「Oficina(オフィシーナ)」から、シェフ兼オーナーのMarco Gomes(マルコ・ゴメス)氏が初来日して腕を振るった。Gomes氏はポルトガル北部出身で、料理もその影響を色濃く受けているという。

ルイス・パト/スパークリング バガ ロゼ NV

前菜に合わせられたワインは、ポルトガル中部バイラーダ地方にある「ルイス・パト」の「スパークリング バガ ロゼ NV」。ラズベリー、チェリーを思わせる果実の風味が豊かで、若々しい酸味を持ちながらもコクのある味わい。

そこにポルトガル北部の郷土料理である「ポルトガル風ソーセージ クリーミーポテトとマッシュルーム添え」が並んだ。

ソアリェイロ/プリメイラス ヴィーニャス 2020

2本目のワインはヴィーニョ・ヴェルデのブランド「ソアリェイロ」による「プリメイラス ヴィーニャス 2020」。エレガントで豊かな柑橘系のアロマがグラスの中で広がる。

料理は「魚とエビのスープ コリアンダーとレモングラス風味」。オリエンタルなハーブを用いたスープは、ポルトガルに異国の食材を紹介した大航海時代の先人たちへのオマージュだという。

カーザ・ダ・パッサレーラ/オ・オエノロゴ・エンクルザード 2019

3本目のワインはダオンにある「カーザ・ダ・パッサレーラ」の「オ・オエノロゴ・エンクルザード 2019」。同ワイナリーは、ポルトガルでも最も標高の高い場所に位置するワイナリーだ。

料理は「ロブスターとイカ墨の天ぷら エシャロットソース」。天ぷらが実はポルトガル由来であることはよく知られる。

カルトゥーシャ/レゼルバ 赤 DOC 2015

続くワインはアレンテージョから「カルトゥーシャ」の「レゼルバ 赤 DOC 2015」。果実感がしっかりとあり、肉だけでなく魚介とも合わせられる赤ワイン。

魚料理は「タラのフィレ ポルトガル伝統のパンとひよこ豆とともに」。タラはポルトガル料理に欠かせない食材だという。

キンタ・ド・クラスト/ヴィーニャ・ヴェーリャス 赤 2019

肉料理にセレクトされたワインは、ドウロの「キンタ・ド・クラスト」から「ヴィーニャ・ヴェーリャス 赤 2019」。濃厚で複雑、かつ冷涼感も感じるような、ドウロを代表するスタイルのワインだ。

肉料理は「仔牛のほほ肉 スイートポテトピューレ添え」。標高の高い牧草地で育てられた仔牛のほほ肉は、スプーンで食せるほど柔らかく仕上がっている。

グラハム/トゥニー 20年

最後はポルトの「グラハム」から「トゥニー 20年」が登場。プラムを思わせるみずみずしさと、熟成によるナッツやドライフルーツのようなフレーバーが織りなす甘口ワインだ。

そしてデザートは「ポルトガル風フレンチトースト 塩キャラメルジェラートとともに」。ポルトガルではフレンチトーストはクリスマスのデザートとされるが、今回はコースの締めくくりに選ばれた。

日本と縁の深いポルトガル

かつて「南蛮料理」と呼ばれて珍しがられたものが、いつしか日本の伝統食かと錯覚するほど馴染んでいる例も多いポルトガル由来品。

AGAVIプレジデントのアントニオ・ソウザ・カルドーゾ博士は、今後もポルトガルの魅力を日本に発信していきたいと語る。未来に向けても両国の文化的交流に期待したい。

(SAYA)

* DipWSETはワインに関する上位の資格。