「札幌芸術の森美術館」は、11月19日(土)から翌年1月15日(日)の期間、回顧展「野田弘志-真理のリアリズム」を開催する。
同展を通じて、日本のリアリズム絵画を代表する画家・野田弘志さんの作品の真髄に触れてみよう。
写実画家・野田弘志の画業の全容を紹介する回顧展
日本のリアリズム絵画を代表する画家の一人・野田弘志さん。東京藝術大学を卒業後、30代半ばより画業に専念。広島市立大学芸術学部で指導にあたったのち、現在は北海道のアトリエで日夜制作に没頭する日々を送る。
傘寿を超えてなお、リアリズムの画壇を牽引し続ける、我が国を代表する写実画家だ。同展は、その最初期から近作まで、画業の全容を回顧する。
学生時代の作品、広告会社時代のイラスト・デザイン、画壇デビューを果たした頃の細密な静物画群(「黒の時代/金の時代」)から、その名が全国的に知られる契機となった新聞連載小説『湿原』(加賀乙彦著)の挿絵原画。
さらに、骨・生ける人間を描き、死生観を示そうとしたシリーズ「TOKIJIKU(非時 ときじく)」「THE」。そして、近年手掛けている等身大肖像のシリーズ「聖なるもの」「崇高なるもの」まで展示する。
人物・静物・風景、いずれのモチーフを前にしても、一貫してひたすらに見つめ、描くことで「在る」ということを突き詰めようと、野田さんが一貫して追求してきたリアリズムの道を辿る。
写真か絵画か。会場だからわかる発見
野田さんは、ものや人を「描き尽くす」こと。作品を「壁」のように強く、しっかりとしたものにすることに強いこだわりを持つ。
実際の作品には、筆の跡や絵の具の盛り上がりが見られ、作品が写真ではなく、画家の卓越した「手わざ」で描かれた絵画だということを一層意識させられる。これは会場だからこそ発見できる、野田作品の魅力だ。
朝日新聞連載小説『湿原』挿画
野田さんの名を知らしめるきっかけとなった、朝日新聞連載小説『湿原』(加賀乙彦作)の挿画。モチーフを鉛筆によって細やかに描く。
全国に散った原画のうち、所在がわかっているものの中から110点ほどを出品。会場で、圧倒的な量と質で仕上げられた挿画の数々を、じっくり鑑賞しよう。
会場限定の映像で迫る、リアリズムの秘密
80歳を超えてもなお洞爺湖のそばにある住居兼アトリエで制作を続ける野田さん。同展では特別に制作の現場を取材、そのリアリズムの秘密に迫る。
アトリエでの制作の様子、独自の芸術思想、モチーフに込められた想い、北海道を制作の地に選んだ理由などについて野田さん自身が語る場面を収めた貴重な映像を放映する。
洋画界にブームを起こしているという写実絵画(リアリズム)。その第一人者である野田弘志さんの作品を鑑賞し、リアリズムの真髄に触れてみては。
野田弘志-真理のリアリズム
会場:札幌芸術の森美術館
所在地:北海道札幌市南区芸術の森2-75
会期:11月19日(土)〜2023年1月15日(日)
開館時間:9:45〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし1月9日は開館)、年末年始(12月29日〜1月3日)、1月10日(火)
入館料:一般700円(札幌市文化芸術鑑賞促進事業により、通常価格の半額)
札幌芸術の森サイト:https://artpark.or.jp/tenrankai-event/nodahiroshi2022/
(高野晃彰)
※イベントの予定は、やむをえず変更の可能性あり
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