台北の2つ星レストランが、地球問題と食にフォーカスしたコラボイベントを開催

金沢のクリエイター集団secca inc.と、台湾の世界的シェフであるアンドレ・チャン氏のコラボレーションイベント「RAW×secca<Re:define future>」が、同氏がオーナーシェフを務める台北のミシュラン2つ星レストラン「RAW Taipei」でスタートした。

地球規模の問題に目を向けたコース料理

“新しい出発点に戻る”という意味を込めた、今回の「Re:define future」。アンドレ氏とseccaのコラボレーションの歴史は、コロナウイルス感染拡大前の2020年2月、金沢市のA_RESTAURANTで実施した「PERSPECTIVES OF KANAZAWA~金沢・新しい視点」まで遡る。

当時は“金沢の視点”というテーマの元、料理と器と映像で表現してイベントを盛り上げたが、アンドレ氏は2022年の今、「2年前と比べると、その間に世界はさまざまな危機に直面し、“明るい”未来があるようには思えなくなった」と語る。

今回のコラボレーションでは、人々が直面している海洋危機、気候変動、突然変異、M字型社会というグローバルな問題に着眼。“一人一人が考え、新しい出発点に戻ること=Re:define”を促すコースを、アンドレ氏が約半年かけて作り上げた。本記事では、そんな注目のコースのハイライトをご紹介したい。

[I AM HYBRID]

過剰な品質改良について問う一皿。アンドレ氏はseccaがデザインした、風景を象徴した無機質なテーブルウェアに“品種改良”を象徴する7色の花を咲かせ、自然との対比を強調した。

[RAWness]

これからの食の未来が、最も純粋で原始的な状態に戻ることが可能なのかを問いかける一皿。プリミティブな木の皮の器に、苔のようなビジュアルの料理をあしらった。これらを手袋をはめた手や、専用の木のカトラリーを用いて味わう料理。

[MUTATION]

人間が環境や生態系に及ぼした影響について問いかける一皿。環境配慮型樹脂製のテーブルウェアの上に、豪快にロブスターを盛り付けた。ロブスターの殻は厚くて硬いはずだが、簡単に破れてしまうほどの柔らかさ。これは環境の変化により、意図せずも適応してしまった生き物の姿を表している。

コースは、人々が今、もっとも幸せな“黄金時代”を生きることができるようにという願いを込めた金箔入りミニアイスクリームで終幕。

食の体験型展覧会を同時開催

「RAW Taipei」のエントランスロビーでは、食の体験型展覧会「Define the Future」を同時開催。2020年の金沢でのコラボレーションの様子や、アンドレ氏がセレクトしたアートピース、seccaがデザインした環境配慮型新素材を使ったテーブルウェアブランド「ARAS (エイラス)」の展示販売を行う。

今回のコラボレーションが、“地球と食の未来”について人々に考えさせる、良いきっかけとなることは間違いない。

RAW×secca<Re:define future>
場所:RAW Taipei
所在地:台北市中山区楽群三路301号
定休日:月・火
営業時間:ランチ11:30~15:00、ディナー18:00~21:30
価格:NT$4,680/人+サービス料
※パン、水、ワイン/ノンアルコール飲料のペアリングを含むフルメニューはNT$7,300
予約:公式ホームページ(https://www.raw.com.tw/)より

(IKKI)