石川・能登、眠り続けた幻の酒米の再生「石川酒30号再生プロジェクト」始動

将来を見据えた壮大なプロジェクトが始まっている。

農家×酒蔵×酒屋、未来を担う世代が取り組む幻の酒米の再生「石川酒30号再生プロジェクト」を紹介しよう。

共同プロジェクト「石川酒30号再生プロジェクト」は、約30年前に石川県で開発され、世に出ることなく眠り続けた幻の酒米「石川酒30号」を蘇らせることを目的に、酒のオンラインストア 「KURAND(クランド)」が立ち上げた。

■農家×酒蔵×酒屋が取り組む幻の酒米の再生

「その土地の原料を使った、その地域でしか表現できない酒を追求したい」という「KURAND」の思いのもと、石川県能登の農家「ゆめうらら」と酒蔵「数馬酒造」と協力し合い、現代の発達した農業技術と醸造技術を駆使して「石川酒30号」を復活させていくもの。

石川県羽咋郡の農家「ゆめうらら」代表取締役、裏貴大氏

「若者が能登も農業も日本酒も盛り上げる!」というコンセプトのもと、耕作放棄地の解消を目的として農業の活性化に努めている。

酒蔵「数馬酒造」代表取締役、数馬嘉一郎氏

「醸しのものづくり」で、能登の魅力を高めることを使命とし、耕作放棄地の開墾や地域資源の活用を通して 持続可能なものづくりに取り組んでいる。

酒屋「KURAND」商品開発部、青砥秀樹氏

全国各地の小さな酒蔵がこだわり抜いて造る、ここでしか出会えない日本酒をはじめ、梅酒や果実酒、クラフトビールやワインなどを販売している。

■プロジェクトの進展状況

2019年のプロジェクト発足時、保管庫にほんの一握り、100粒程度の種子しか残っていなかった「石川酒30号」だったが、2020年度分も無事収穫でき、来年度以降の種子も確保することが出来た。

折しも、2020年4月に政府から新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令され、例年とは異なる厳しい状況での栽培となったが、農家の丹精が実を結び、予定通りの収穫数を得ることが可能に。

4月に「種まき・生育」をして、翌5月に「田植え」。梅雨の時期を越えて成長した稲を8月に「刈り取り」、9月中旬には「玄米」を酒蔵に納品。酒蔵はその玄米を用いて10月には「仕込み準備」を完了させた。

年が明けて2021年2月から「試験醸造」を開始、来年2022年の春以降に販売予定となっている。

能登の耕作放棄地で酒米を栽培しているこのプロジェクト。今後の売れ行きと合わせて水田を拡大することで、耕作放棄地を減らし、地域活性化にも繋げたいと考えているそうだ。

地元の農業を振興させることこそ持続可能な社会を作ることにつながる。これからの能登の農業、酒造りを担って行く世代が作りだす酒の完成を、心躍らせながら待ちたい。

KURAND:https://kurand.jp
SDGs特設ページ:https://kurand.jp/pages/sdgs

(冨田格)