西宮神社の「十日参り」とお福分けのお菓子「とおかし」

兵庫県西宮市の「西宮神社」は福の神として崇敬されるえびす様をお祀りする神社の総本社。

本殿は三連春日造(さんれんかすがづくり)の珍しい構造となっており、向かって右が第一殿で、蛭児大神を祀り、中央が第二殿、天照大御神および明治初年に大国主大神を配祀、左が第三殿で須佐之男大神を奉斎しているそう。

 

その本殿において、1月を除く毎月10日に旬祭「十日参り」が斎行される。

10時から執り行われる儀式には多くの参拝者が参列し、開始時刻には拝殿内に設けられた座席はいっぱいになった。

厳かな雰囲気が満ちた空気の中、祓串によるお祓いを受け、祭典が始まる。

雅楽の音色が響くと、一層神聖な心持ちになる。

神饌(しんせん)と呼ばれる神様の食事(米、酒、餅、魚、野菜、果物、菓子、塩と水)が神職によって拝殿の中央へ手渡しで運ばれる。

巫女舞や国家の安泰や氏子崇敬者の繁栄などを祈願する祝詞の奏上などが行われ、約1時間にわたり神事が続く。

最後に宮司から短いお話をいただき終了となる。

拝殿から退出の際、お神酒と数粒の米、神事が始まる前に配布された「とおかし券」と引き換えに「とおかし」が振る舞われる。

 

和菓子のお福分け(振る舞い)は以前からあったが、「とおかし」は平成29年から西宮の和菓子を広くPRする「西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会」が中心となって「とおかしプロジェクト」がスタートしたもの。

市内の和菓子店11店が、特別に考案したお菓子「とおかし」が月替わりで登場し、参列者に配られる。

平成としては最後となる4月の「とおかし」は「あおやま菓匠」の「えびす大福」。「大きな福をいただいて」、と宮司のお話にもあった。

 

「とおかし券」と同時に配布された「おかめ茶屋お茶券」は境内の「おかめ茶屋」でお茶と「満足(みたらし)団子」をいただける。

 

十日参りには境内でえびす座の人形芝居が楽しめるそうだ。この日はあいにくの雨のため、おかめ茶屋内にて参拝者の頭に福を授けてまわってくれた。

 

ささやかな福が訪れますように。

 

西宮神社 所在地:兵庫県西宮市社家町1-17

 

(小椚萌香)