青森県黒石市には黒石温泉郷と呼ばれる「温湯」「落合」「板留」「青荷」の4つの温泉郷があり、古くから湯治場として栄えてきた。
宿泊した「津軽・花詠みの宿 花禅の庄(かぜんのしょう)」は落合温泉に佇む温泉宿。
慣れない雪道を走って到着し玄関に入ると暖かくホッとすると同時に、迫力のある大きなねぶた飾りに郷愁を感じる。
館内は廊下からエレベーターの中まで全て畳敷き。
客室は3タイプで、12.5畳の和室が15室、10畳2部屋のベッド付き和洋部屋(特別室)が1室、8畳のユニットバスタイプの部屋が2室の全18室。それぞれの部屋に花の名前が付いている。
案内された部屋は「水仙」の間。
縁側からは雪を纏った樹々が間近に見え、夜にはライトアップされ幻想的な冬景色に。
1階の渡り廊下を進んだ先に男女別の大浴場が設けられ、それぞれに温泉の内湯と露天風呂がある。
香り豊かな青森ヒバとマイナスイオン効果のある十和田石をふんだんに使用した浴室でじっくりと温まり、雪道を走る緊張感からすっかり解放された。
真正SS極磁気活水装置JOSプラスパワーによる磁気活水を使用し、小さな水の分子集団に分解させる事で浸透力が高まり、お肌に保水効果を与え湯冷めがしにくい効果があるそうだ。
夕食は部屋でいただく「会席膳」。
青森県産鮮魚、青森県産和牛、旬の野菜等、「北国らしさ、青森らしさ、津軽らしさ」をコンセプトとした献立をシンプルな調理法で食材の持つ本来の味わい。
先附やお造りの褄(ツマ)に使用される「そばもやし」は瑞々しくシャキシャキとした歯触りでとてもおいしい。傷みやすいので津軽地方近辺だけでの流通だそう。
炭火でふっくらと焼かれた岩魚には「かじか味噌」が添えられる。かじか味噌は、川魚の「かじか」の身をすりつぶし味噌を合わせ炭火で焼いたもの。
ご飯には青森県産つがるロマン使用の「にんにく味噌焼きおにぎり」、汁物には郷土料理の「けの汁」。
派手ではないが、郷土の温かさを感じる料理が嬉しい夕餉をいただいた。
朝食は食事処での和定食膳。郷土料理「帆立貝焼き味噌」、「鯖味噌煮」、豆腐屋から仕入れる豆乳使用の「手作り寄せ豆腐」、「黒石温泉納豆」など津軽らしい食材が並ぶ。
朝食後はセルフサービスのコーヒー、県産ブラックベリー、林檎、甘酒、米等使用の健康スムージーがラウンジに用意されている。
北国の温かさを随所に感じられる宿であった。
住所:青森県黒石市袋字富山64-2
津軽・花詠みの宿 花禅の庄:http://www.kazennosyo.jp/
(小椚萌香)