長野県の小谷(おたり)温泉「山田旅館」は江戸時代建築の本館をはじめ明治から平成に建築された建物が並び昔ながらの湯治場の風情が残る温泉宿。
本館を含む6棟が登録有形文化財に指定される。
加水・加温なしのかけ流しの自家源泉の温泉を保有し「日本秘湯を守る会」の会員宿でもある。
国道148号線の小谷温泉口から県道114号線に入り小谷温泉へ向かうと山深さは増していき、宿に到着すれば「秘湯」というに相応しい懐かしい木造りの建物が建つ。
玄関・フロントがある建物が江戸時代に建築の本館。
本館の隣に大正時代に建てられた木造の新館、奥に鉄筋コンクリート造りの別館が並ぶ。
別館にはエレベーターがあり、全室バス・トイレ・エアコン付きで部屋に鍵がかかる、とわざわざここに記載するのは本館と新館の部屋にはバス・トイレ・エアコンなし、部屋に鍵が付いていないからだ。
設備の整った別館に泊まるかリーズナブルで情緒のある本館・新館に泊まるかはお好みで。
江戸時代に思いを馳せて本館に宿泊するのも旅の醍醐味。鍵はかからないが、貴重品用の金庫を用意している。
なお、本館と新館にはバスタオルの用意がないので必要ならレンタルするか持参しよう。
大浴場は本館の1階に「元湯湯殿」と外湯の「桧の内風呂・展望風呂」の2か所で、どの湯船も源泉100%の温泉のかけ流し。
「元湯湯殿」は入り口からレトロ感満載の模様硝子が入った木造りの扉。
湯船に2メートルほどの高さから源泉が落ちている様は打たせ湯に見える。その湯量の多さと浴室に反響するせいもあるのか滝のような迫力のある音が響く。
脇に古びたコップが下がっているのが飲泉可能の温泉の証。
湯船に寝湯のための浅い部分の縁の木製の枕は温泉成分が付着し石造りのよう。
外湯は別館の先の外廊下を渡った温泉棟にあり、宿泊者専用の浴場である。
宮大工により改装した檜の内風呂と見晴らしの良い展望風呂があるのでこちらの湯も愉しみたい。
食事は食事処に用意された。
思いのほか多数の皿が並び、山深い地であるのに海の幸のお造りや天ぷらには海老の姿もある。
着席すると熱々のお味噌汁を運んでくれる。
見た目の繊細さはないが、滋味あふれる料理。
手作りの蓬饅頭は部屋に持ち帰って夜食がわりにいただいた。柔らかくとてもおいしかった。
住所:長野県北安曇郡小谷村中土18836
小谷温泉 大湯元 山田旅館 公式サイト:http://www.otari-onsen.com/
(小椚萌香)