うつな思考回路からの解放!作家・岡 映里の“うつ”回復エッセイ

厚生労働省の発表によると、精神疾患で医療機関にかかっている患者数が近年、増加傾向にあるという。平成26年(2014年)の調査では、総患者数392万4,000人。

内、約9割にあたる361万1,000人が外来患者数であり、その数は平成17年(2005年)調査と比べると約100万人近い増加となっている(1)。多い順に「うつ病」「統合失調症」「不安障害」「認知症」などで、中でも「うつ病」と「認知症」の外来患者数が著しい。

 

KADOKAWAから6月15日(月)に刊行する『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』は、作家・岡 映里がうつ症状と向き合い、自分を取り戻すまでの試行錯誤の1年半を書き下ろした実録手記だ。

本書には、体験をもとに描かれた人気漫画家・瀧波ユカリによる描き下ろし漫画も収録されている。

岡氏は、恋愛も仕事もうまくいかず、お金もない現実を「なにもかもうまくいかない」のは自分のせいと考え、「自分が嫌い」になる。そして心が不安定になり、怒りの感情をコントロールできなくなっていく。

つらい症状を抑えるために薬を飲むことで、一見精神が落ち着くが実は感情は消える。不仲だった両親のことを考えれば考えるほど心も凍り、表情も消えていった。そして、長く続く抑うつ状態に対して、「これは自分の運命で、自分にはどうにも変えることができない」と諦めていくようになる。

だが、ある日気づく。行動を変えることで心が連動して変わること、「心の地図」を持っていない状態が、心を彷徨わせていることに…。そして胸に眠っていた「7つのスイッチ」を探り当て、行動をすることで、重いうつが改善し、毎日が驚くほど軽やかに動き始めていったのである。

本書の解説で、医療法人桜桂会 犬山病院高沢 悟院長は、次のように語る。

「最近の脳科学でも、うつ病を持続させているのは、この否定的思考や感情の反復(反芻:rumination)ではないかと考えられています。つまり、自らの思考が病気も持続させているのです。

主人公の映里さんは、本書『自分を好きになろう』のなかで、そんなネガティブな世界から、いろいろな人の助けを借りながら(これも自分の力の一部です)、サバイバルした経験を語ってくれています。そして病気は確かに自分のせいではないけれど、病気と付き合っていくやり方は自分で決められるんだ、ということに気付きました。

きっかけは、ありふれた一つの「行動」でした。それは「症状」というより「疾病行動」ともいえるある種の自分で作った〝思い込み〞に気づくことからはじまりました。掃除をする、それも自分の近くのペットボトルを10秒だけ片付ける、という実現可能な小さな「行動」からはじめたことが成功の元でした」
もし、今、ひとりの部屋で抑うつ状態に苦しんでいる方がいたら、『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』をぜひ読んでみてほしい。そしてもし、この本に書かれていることを試してみようと思えたなら、それは作家冥利に尽きる、と岡氏は綴っている。

 

(1)『精神疾患を有する総患者数の推移』http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdfより抜粋