兵庫県赤穂市東部の瀬戸内海に面する港町「坂越(さこし)」。
緑豊かな山々、清流の千種川、瀬戸内海に浮かぶ「生島」など自然に恵まれ、都市景観100選にも選ばれた伝統的建造物群の古い町並みが今も残る。
坂越浦は瀬戸内海に開けた天然の良港。
海沿いの道路を走れば漁船が並ぶ小さな港がいくつもある。
冬季には水揚げされた新鮮な牡蠣の直売、焼き牡蠣や牡蠣フライを売る店舗が。
脇道に入ると潮の香とともに牡蠣を焼く香ばしい煙が漂っている。
焼き牡蠣は一つからオーダーできるのでお腹がいっぱいでも諦めることはない。むしろお腹がいっぱいでもおいしくて追加オーダーしてしまうほど。
オーダーしてから焼き上がるまでの数分、バケツに入れられた大量の牡蠣や、牡蠣の殻を削る作業をする工程も見て回る。
殻付きの牡蠣でもこれほど人の手が加えられていることに改めて思い知る。
焼き上がった牡蠣は皿に入れて割り箸とともに手渡される。
熱々の身を口に含めば何とも言えない牡蠣のジューシーでありながらコックリした味。噛むほどにほのかな甘みも感じられる。
坂越湾は波も少なく良質のプランクンが豊富。
緑豊かな山々から千種川を通り注がれる栄養豊富な水が育んだ海で育つ坂越の牡蠣は栄養をたっぷり蓄えているので肉厚で旨みが濃いそうだ。
せっかくなので剝き身の生牡蠣を土産に購入した。
よく見かける水の中に生牡蠣がふわふわ浮かんでいるパックとは密度が違う。
皿に開けてみると驚くほどの量が出てきてその差は一目瞭然。
鍋にしていただくのも軽くバターで炙るのもよい。
自然の恵み、牡蠣を丹念に育て販売する人々に感謝しつつおいしくいただいた。
(小椚萌香)