ドイツは技術力の高い国である。
その多方面における技術と歴史を知るなら、ミュンヘンにある「Deutsches Museum(ドイツ博物館)」に行くのがお勧め。特に航空系に興味のある人は、是非訪れて欲しい博物館の一つだ。
入ってすぐ、高い天井の展示室には戦時中の航空機を中心に「空の技術」を見ることが出来る。
ルフトハンザの機体を輪切りにした、現代の旅客機技術についての説明もあれば、第二次世界大戦中の名機も並ぶ。特に目を引くのが、珍しい2機。
世界初のジェット戦闘機「メッサーシュミットMe262」と、世界初のロケット戦闘機「メッサーシュミットMe163」だ。レシプロ機しかなかった時代に、世界最速の870km、960kmも叩き出した怖ろしい怪物たちである。
興味深いのはエンジンの展示。
良く見慣れた紋章があるのにお気付きだろうか。
これはなんとメルセデスベンツ製の航空機用エンジンで、「メッサーシュミットBf109」のものだ。中空部分に20mm機関砲が通るようになっている。
世界中に愛される「LEICA(ライカ)」を初めとして、光学機器もドイツの誇り。
驚いたのは、それらの展示の中に日本のキヤノン、ニコン、ソニーも共に展示されていたこと。世界初の技術に対する尊敬の念を持つドイツは、やはり技術の国だ。
他にもドイツの「世界初の技術」「誇り高き技術」は続く。
我々が教科書で学んだ「グーテンベルクの活版印刷」もそうだ。
世界が驚いた「Graf Zeppelin(グラーフ・ツエッペリン)」の模型も浮かび、偉大な科学者達の胸像も並ぶ。
近現代までのあらゆる技術を実物、もしくは模型で知ることが出来るこの博物館は、なかなか一日では見きれない量がある。
様々な展示を見てきたが、やはり一番驚かされたのは訪れる人の多さ。
日本ならば特別展でもない限り国立科学技術館に行列が出来る姿を見ることはないが、このドイツ博物館では常設展に老若男女関わらず大勢の人が列を成していた。
この探究心と学ぼうとする姿勢が、ドイツの底力となるのだろう。
(田原昌)