雨だからこそ美しい鎌倉、紫陽花の旅

雨続きの季節、淀んだ空とは対照的に、紫陽花の輝きが増している。紫陽花の名所、鎌倉でもそれは変わらない。

雨だからこそ美しいー鎌倉紫陽花散歩

JR北鎌倉駅を降り、10分程歩くと明月院に辿り着く。

別名「あじさい寺」とも言われ、この季節は一番の賑わいをみせる。朝一番に行ったのだが、既に多くの人が来ていて驚く。

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中門に向かって階段の両脇を埋め尽くす青い紫陽花は圧巻だ。

土壌の関係でここは青から青紫といった青系の紫陽花が多く、「明月院ブルー」とも言われる。雨に濡れた姿は、心の奥底にまで染みいるような美しさ。言葉にならなぬほどである。

また明月院では紫陽花より若干早い時期から花菖蒲も咲くので、時間があったら本堂の裏手にある庭園にも立ち寄ってみたい。

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次は江ノ電に乗って長谷寺へ行ってみよう。

長谷寺の見所と言えば、山の斜面に沿って咲く色とりどりの紫陽花。それを眺めながら、斜面をつづら折りに歩いて一周できるようになっている。本堂の向こうには由比ヶ浜も見えるという絶景ぶりだ。

長谷寺の紫陽花の種類は豊富で、独自の品種「長谷の祈り」や「長谷の潮騒」といった風流な名前が付けられている。大きく鞠のように咲いた紫陽花や、外側だけ咲く額紫陽花。どの花もよく手入れされていて素晴らしい。

人気があるので人も多いのだが、雨の日はカラフルな傘も咲いて却って絵になる。写真は撮りづらいが、そんなわくわくも素敵だと思う。

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長谷寺から歩いて江ノ電の「極楽寺駅」へ向かう途中に、御霊神社がある。ここは鳥居の真横を江ノ電が走り抜けるという、楽しいスポット。

路線で唯一存在するトンネルから出てきた江ノ電と、その両脇に咲く紫陽花。江ノ電、レンガのトンネル、鳥居、そして紫陽花と、欲張った一幅の絵が出来上がるのだ。

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最後に紹介する成就院は、御霊神社から山を登るようにして極楽寺駅に向かう途中にある。なんと言っても、ここは階段の両脇に咲く紫陽花と向こうに見える由比ヶ浜との絶妙な調和が素晴らしい。

ただし残念な事に、現在成就院では紫陽花の植え替え作業をしており、2017年まで写真のような姿は見られないのだそうだ。要注意である。

この時期はどこに行っても紫陽花が咲いていて美しい鎌倉。雨の日こそ、しっとりとした風情を楽しみに散歩してみてはいかがだろうか。

(田原 昌)