東京・六本木にある「クマ財団ギャラリー」にて、9月26日(木)から30日(月)の5日間、アーティスト・沖田愛有美さんによる個展「祝福は傷口を伝っていく」が開催される。
同展は、クマ財団が支援する若手クリエイターたちの作品を展示するシリーズ企画「KUMA selection 2024」の一環として行われ、シリーズ最終回を飾る個展。シリーズの集大成に注目したい。
“漆”へと関心を寄せるアーティスト、沖田愛有美さん
今回の個展の主役となる沖田愛有美さんは、“漆”をメインの画材として扱うアーティスト。漆は、その生息圏である東アジアや東南アジアを中心として発展してきた。彼女は、そんな漆の絵画を独自の視点で再解釈して作品を制作している。
日本では、漆は絵画と工芸の境界にあるがゆえに定着しなかった背景がある。しかし沖田さんはこの二重性に新たな可能性を見出し、視覚と触覚、目と手の芸術の結節点を探求。近年は漆を植物として捉える視点を取り入れ、人間と自然との繋がりへも関心を寄せている。
六本木で「祝福は傷口を伝っていく」が開催
沖田さんは、樹皮に傷をつけることで採取される漆を「血の一滴のようだ」と表現。また、研ぎと描画を繰り返す中で変化する漆作業を、「感情を持った人間と対峙しているかのようだ」とも話している。
今回の個展では、そんな沖田さんが漆を“共同制作者”と位置付けて作り上げた複数の作品を展示する。
沖田さんは今回の個展と漆という画材について、次のようにコメント。
「漆の絵では、表面の光沢や磨かれた鏡面の反射、透明感を帯びた色彩層、混ぜ合わされた土や金属粉の素材感が、描かれたイメージと共に目に飛び込んできます。そこではしばしばイメージが覆い隠す、絵画の肉体としての“ものそのものの存在”が強調されます。私は漆を介して人為的なものの背後にある非人間的な存在に注意を払うようになりました。(中略)
今回の展示では材料と制作者との間で交わされる傷の交換にを手掛かりに、人ならざるものとの繋がりについて考えたいと思います」
人間と自然、そして未知なる存在との深い繋がりを、同展を通じて感じてほしい。
祝福は傷口を伝っていく
会期:9月26日(木)~30日(月)
開館時間:12時〜19時(最終日は17時まで)
会場:クマ財団ギャラリー
所在地:東京都港区六本木7-21-24 THE MODULE roppongi 206
入場料:無料
公式ページ:https://kuma-foundation.org/gallery/event/ayumiokita/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000023769.html
(IKKI)