島根県隠岐郡の海士町と、地方を舞台に事業を展開する「FoundingBase」が、2023年の春にグランピング施設をオープンする予定だ。
隠岐は、ユネスコ世界ジオパークに選ばれた絶景に加えて、豊かな自然や地域資源が豊富な島。それらを活用した島ならではの体験を提供する施設になるという。
島の恵みを感じる自然体験満載のグランピング施設
本土からフェリーで約3時間の島根県隠岐諸島の一部である海士町。2013年に海士町をはじめ隠岐諸島は、ユネスコ世界ジオパークに認定され注目を集めた。
火山活動により隆起した山間地域では牛の放牧が行われ、豊富な地下水に恵まれ島の中で唯一水田が広がっている。中世には海士町の海産物が天皇の食卓に並んだ歴史もあり、資源の豊かさを物語る。
来年春にオープン予定のグランピング施設では、海士町に培われる自然や人の営みに触れながら、町の魅力をまるごと味わえるような滞在価値を提供する。
里山里海の循環から未来に海士町の自然を残していく施設
海士町の持つ魅力とグランピング施設について、町長の大江和彦氏は以下のように語る。
「海士町はこれまで里山里海の循環を掲げ、代々家族で見てきた当たり前の風景や恵みを、観光客に提供できる観光施策を推進してきました。」
その上で、「誰もが子供の時に触れた原体験を、自然と人の営みを大切にしてきた海士町で体験していただきたい。今春オープン予定のグランピングは、単なる宿泊体験だけでなく、海士町の食や文化に触れるきっかけになれば。」と述べる。
観光は島にとっての呼吸のようなもの
また、海土町で宿泊施設「Entô」を営む青山敦士氏は、「昨年7月にジオパークに泊まれる拠点「Entô」がリニューアルオープンすると、ジオパークとしての魅力や地球の迫力に触れたいと海士町を訪れるゲストが増えました。」
そして、「より自然に近い環境にあるグランピングができることで、エリア一帯として相乗効果が生まれます。観光は島にとっての呼吸のようなもの。海士町を訪れたことがない世界中の人々に来てもらえるきっかけとなることを期待しています。」と語る。
グランピング施設を通じて町の活性化を実現する
グランピング施設をプロデュースする「FoundingBase」の佐々木喬志氏は、その意義を「海士町のファンを創ることにより、継続的に町に関わり続けてもらうこと」とする。
それが、海土町の経済の活性化を促し、結果として豊かな島の営みを持続させることに繋がる。そのためには、地元の人々と協働しながら、この町ならではの感動体験を提供し、ゲストが何度も訪れたくなるリピーター率の高い施設にすることを目指すという。
島根半島の北方、40~80kmの日本海に浮かぶ隠岐は、ユネスコ世界ジオパークに認定される雄大で美しい自然景観を誇るとともに、長い歴史を伝える史跡・伝統行事を有する場所だ。
そんな島の魅力が満載のグランピング施設は、町の行く末と繁栄を真剣に考え、官民一体で協働するまちづくりプロジェクトによるもの。新しいグランピングが、どんなに魅力的な施設になるのか注目していきたい。
FoundingBase
公式サイト:http://foundingbase.jp/
(高野晃彰)