まるで本物の松田優作さんが蘇ったような映像が公開された。
新たな映像表現を研究、開発する東映ツークン研究所は、名優・松田優作さん(享年40)をデジタルヒューマンで復活させるプロジェクトの第2弾情報解禁として、ショートムービーを公開した。
松田優作さんの妻で、女優・写真家の松田美由紀さん監修のもと、デジタルヒューマンとして現代に蘇った松田優作さんの初主演作だ。
デジタルヒューマン専門チームが現代の松田優作さんを表現
「コンテンツの未来をデザインする」というミッションのもと技術開発を行う東映ツークン研究所は、デジタルヒューマン専門チームを編成し、2019年からの3年間におよぶプロジェクトを進めてきた。
そして、デジタルヒューマンショートムービーの主演には、かつて東映グループ会社のセントラルアーツに所属し、『最も危険な遊戯』『蘇る金狼』『探偵物語』『華の乱』などのヒット作・名作に出演、当時の映画界を牽引した名優・松田優作さんを選んだ。遺作となった『ブラック・レイン』ではハリウッドにも進出するなど、世界的にも知名度が高いトップスターだ。
超高精細3DCGデータやアニメーション技術を駆使
そんな本人の独特の雰囲気やオーラをデジタルヒューマンとして蘇らせるため、顔の復元にはツークン研究所が運用するスキャンシステム「Light Stage」を使用。取得した複数人の超高精細3DCGデータをもとに、機械学習で生成した顔モデルを利用している。さらに表情の動きにはトラッキング技術を使用し、松田優作さんのボディダブルの表情を解析してアニメーションをつけた。
音声はAI 技術を活用して復元
また、声の復元に関しては、AIによる音声復元およびAI音声ディレクション全般をゲーム開発から映像、メタバースコンテンツ開発などの制作を幅広く行なっているORENDA WORLD社が担当。音声合成分野で有名な名古屋大学発の企業、TARVO社のAI音声変換技術「Suara」を使用して復元に挑んだ。
現代と昭和の融合を感じさせる世界観を表現
映像内容としては松田優作さんが夜のトンネル内を車で運転する姿、そして彼が触れたことのないはずの現代のスマートフォンを使っての通話姿、逆に昭和を感じさせるようなジッポーでの煙草に火をつける姿など情緒漂った映像になっている。
一連の自然な仕草に往年の姿が思い出され、まるで松田優作さんが現代に蘇った、もしくは自分が過去にタイムスリップした、そんな感覚を覚える。
現代と過去が融合された映像の監修は、松田優作さんのクリエイティブ全般を担う松田美由紀さんが務めた。
制作の裏側や今後の展望について、対談企画を公開中
また、東京藝術大学大学院映像研究科教授の岡本美津子先生と今回のプロジェクトのディレクター美濃一彦さんの対談記事を公開している。制作の裏側やデジタルヒューマンの可能性を感じられるインタビューとなっている。
映像制作において革新的な挑戦となる同プロジェクトの今後の展開にも目が離せない。
対談企画:https://zukun-lab.com/news/interview_202209okamoto-toei/
(hachi)