フランス・パリ5区に5月20日（金）、日本酒メーカーのWAKAZEを親会社とする「WAKAZE FRANCE」の直営レストラン「WAKAZE PARIS（ワカゼ パリ）」がオープンした。

“SAKE”と日本食が楽しめるだけでなく、酒造りのストーリーまで知ることができると、開店から1週間で高評価を得た同店を紹介する。

「WAKAZE PARIS」のコンセプトはSAKE文化の民主化

「日本酒を世界酒に」をビジョンに掲げ、世界中で“SAKE”が造られ・飲まれることを目標に創業したWAKAZE。その第一歩として、フランス産原材料を用いた酒造りを行う酒蔵「KURA GRAND PARIS（クラ グラン パリ）」をパリ近郊に創立。

醸造初年度には、フランスの清酒品評会「Kura Master 2020」において海外酒蔵で初めて「プラチナ賞」を受賞。フランス最大のワインショップ「Nicolas（ニコラス）」と協業し、300店舗でWAKAZEの日本酒を展開するに至る。

これを契機に、同社はSAKE文化の民主化をコンセプトに掲げ、フランス・パリ5区に直営レストラン「WAKAZE PARIS」をオープンした。

パリ近郊の酒造で造るフレッシュな「生酒」をタップで提供

加熱処理を施さない「生酒」はデリケートで品質管理が難しく、外国への輸出が困難なため、ヨーロッパで出会うのは難しいとされていた。

WAKAZE PARISでは、パリ近郊に構える酒蔵の立地を活かし、フレッシュな「生酒」を樽に詰め、店内でタップからグラスに注いで提供する。

しかも、酒蔵直営だからこそできる品揃えと、1杯6ユーロからのリーズナブルな価格を実現する。

非日常なモダン空間で生まれる「SAKEコミュニティ」

WAKAZE PARISに足を踏み入れると、そこには東京とフランスのエスプリが融合したモダンな空間が広がる。

壁面にはずらりと“SAKE”が並び、中央の大きなU字のカウンターでは、訪れた人の間で自然と会話が生まれる。カウンターの中にいる同店のスタッフからは、SAKEと料理だけでなく、酒造りの詳しい話を聞くことができる。

この場所は、SAKEを中心としたコミュニティを生み出し、SAKEに関心を持つ人々が集まる文化の発信地だ。

料理は酒造直営ならではの発酵素材から生まれる日本食

同店で提供されるのは、「発酵」をテーマに麹や酒粕など酒蔵直営ならではの素材を用いて、食材本来の旨味を引き出す料理だ。

酒造りと同じくフランス産の食材にこだわり、それと日本の伝統技術を掛け合わせたフランス産・SAKEとのペアリングが楽しめるように調理を行う。

甘酒・塩麹・酢などの発酵調味料で締め、濃淡いずれものSAKEに合うように、すっきりとした味わいに仕上げる「しめ鯖（Sashimi de maquereau mariné）」。

酒造りで用いる米と同じく南仏カマルグ産米を使用し、黒米を入れて炊き上げたライスに、動物性素材を使わずに酒粕・ニンジン・トマトなどで旨味を引き出すルーを合わせた「酒粕ベジカレー（Curry Saké-kasu）」など多彩なメニューが揃う。

フランスで酒造りに果敢に挑む、WAKAZE。「日本酒を世界酒に」とのビジョンが実を結び、世界中に日本が誇る“SAKE”の奥深さ・感動が伝わることを大いに期待したい。

WAKAZE 公式サイト：https://www.wakaze-sake.com/ja

（高野晃彰）