神戸ファッション美術館、リアルで神秘な金魚に出会う「金魚鉢、地球鉢」展

動き出しそうな生命感に満ちた、特殊な技法で描き出された金魚たち。

■独創的な技法で描く、金魚の世界

金魚の持つ神秘性に魅了され、透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描くという独自の斬新な手法で注目を集める現代美術家・深堀隆介氏。

1973年、愛知県に生まれ、幼少期に弥富市の金魚を見て育つ。愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸専攻学科を卒業後、制作に行き詰まりアーティストを辞めようとした時、部屋で7年間粗末に飼っていた一匹の金魚に初めて魅了される。以後この体験を「金魚救い」と呼び、金魚を描きはじめる。

器の中に樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵具で金魚を少しずつ部分的に描いていき、さらにその上から樹脂を重ねる技法「2.5D Painting」をあみだし、2007年には横浜にアトリエ「金魚養画場」を開設。現在、活動の場は国内にとどまらず、ニューヨーク、ロンドン、ミュンヘン、香港など海外でも個展を開催し、注目を集めている。

極めて独創的な深堀氏の技法により、絵が重なり合い、まるで生きているかのような金魚が表現され、圧倒的な立体感をもって観るものに迫ってくる。その生き生きとしたリアリティこそ、平面である絵画作品と立体作品の境界に揺さぶりをかける革命的絵画「2.5D Painting」だ。

深堀氏の金魚作品は、国内はもとより今や世界的にも高い評価を受け、近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れ、表現と活動の幅を広げている。

■“深堀金魚”を300点展示

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」では約300点の深堀氏の作品を展示する。

展示は6章からの構成になる予定だ。「第1章 樹脂との格闘 / 進化する技法」「第2章 2D ― 平面に棲む」「第3章 遍在する金魚たち1 ― 支持体、形式の探究」「第4章 遍在する金魚たち2― 日常の景色とともに」「第5章 2.25D ― 表面と深さのはざまで」「第6章 新展開 ― 生まれつづける金魚たち」

作品の撮影は基本的に不可だが、新作インスタレーション作品「僕の金魚園」は、写真撮影・動画撮影可能な空間となっている。

絵画でありながら立体的な躍動感にあふれ、不思議な美しさを湛えた“深堀金魚”を存分に楽しめる特別展になりそうだ。芸術の秋、リアルで神秘な金魚の世界に触れて、しばし非日常を味わってみたい。

 深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」

会場:神戸ファッション美術館(神戸市東灘区向洋町中2の9の1)
開催期間:9月11日(土)~11月7日(日)
観覧料:(一般)1000円(大学生・65歳以上)500円(高校生以下)無料
主催:神戸ファッション美術館、神戸新聞社、毎日新聞社
公式サイト:https://www.fashionmuseum.or.jp

(冨田格)

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