着物の世界から地域の魅力を伝える「きものリトリートホテル」山形県に誕生

山形県にある明治中期から大正初期にかけて建てられた建築物がホテル「NIPPONIA 白鷹 源内邸」に生まれ変わった。「NIPPONIA 白鷹 源内邸」は「きものリトリートホテル」を標榜している。

■和の魅力に触れられる8室の客室

源内邸は明治中期から大正初期頃に建てられた建物群からなる邸宅。高橋源内からはじまる奥山家一族は二百余年にわたり、この白鷹町浅立地区に居を構え、代々、町の経済や文化の発展に貢献してきた。

中でも初代 高橋源内は農業に勤しみながら、ある時は読書や書道について弟子に教えを施し、またある時は貧民救済や産業助成に力を注ぐなど、村人から功績碑が建立されるほど地域の発展に尽力した人物だった。

敷地内の建物は、板蔵、金庫蔵、味噌蔵など母屋を中心に様々な造りの蔵が点在する。また、広大な敷地には奥山家が大切にしてきた希少な樹木があり、季節感溢れる庭の景色を愛でたり、朝日連峰の雄大な風景を堪能できる。

NIPPONIA 白鷹 源内邸は、宿泊施設として五つの建物を八室の客室、最も古い味噌蔵をダイニングとして改修した。敷地内を散策しながら、 四季折々の源内邸を感じられる。

NIPPONIA の活動理念から、歴史的建造物の保存を目的として当時の趣や風情を残して改修している。日本家屋の風情と、ホテルで過ごす非日常の時間を楽しめる。

ここでは客室の一部を紹介する。

艶 紅 Hikaribeni

奥山源太郎が拘り、趣向を凝らした洋室(旧母屋:大正10 年・13 年)

真 紅 Shinku

時を越えた空間で寛ぐ金庫蔵メゾネット(旧母屋:大正10 年・13 年)

紅の八塩 Kurenai no yashio

竹林を望む一棟貸切りメゾネット(旧離れ蔵:大正10年)

■伝統食を取り入れたローカルガストロノミーを楽しむ

滞在中の食事は敷地内にある「纏」にて楽しめる。「纏」では、風土の恵みである野菜や果物を主役とし、置賜で受け継がれてきた伝統食を取り入れた、ローカルガストロノミーを提供する。

その中でも、米沢藩九代藩主 上杉鷹山が提唱した身近な野草を食べ、飢饉を耐え凌いだとされる「かてもの」の文化を現代的に解釈し直し、白鷹から全国、世界へと発信する。

源内邸の敷地内に自生しているタケノコ、山椒、柿、うこぎ、あけびの芽、こごみ、タラの芽、アオキの新芽、フキ、ふきのとうなど、すぐそばにある恵みを大切に用いた白鷹ならではの食事をゆっくりと堪能したい。なお夕食の利用は、原則宿泊者に限る。

「NIPPONIA 白鷹 源内邸」は和の原点に立ち返られる宿泊施設と言える。デジタル優先の今の時代、原点に立ち返るのも悪くはない。

公式ホームページ:https://stay.nipponia.or.jp/areas/shirataka

(GINGA)