元経済誌記者の美大教授がお金とアートの切っても切り離せない関係を明かす、アートの世界をお金からひもといた新しい観点のビジネス書「美術の経済 “名画”を生み出すお金の話」が発売された。
■まったく新しいアート×ビジネス書
アートというとお金では測りきれないものというイメージがあるが、人間が生み出すものである以上コストなしには成立しえず、またオークションなどに出されれば金銭的価値に換算される。
作品を所蔵する美術館にしても、作品を購入したり保管したり、美術展を開催したりするのにも費用がかかる。このように、アートとお金は切っても切り離せない関係なのだ。
本書は、西洋美術や浮世絵といった作品の数々と、作品をとりまく経済活動に着目し、元経済誌記者である筆者ならではの視点でアートをひもといている。
■美術やアートにハードルを感じていた人でも面白く読める
本書では、絵画に描かれた中身よりも、「その作品の経済的な価値がどのように形成されたか」「その作品が生まれた背景は何か」「1人の生活者として作家はどう生きたか」といった内容を、素朴な疑問に見立てて解説。
従来的な絵画の読み解きとは一味違う切り口で、ふだん美術に関心がない人でも面白く読めるのが特徴だ。大量に生産される製品やサービスとはまったく異なる価値観が支配するアート。
その価値がどのように生み出されるのかを知ることは、先行きが不透明な現代社会を生きるためのヒントにもなるだろう。
■本書でひもとく美術とお金にまつわる素朴な疑問の例
・モナ・リザの値段はいくらか?
・ダ・ヴィンチの報酬はいくらだったのか?
・工房作品の市場価値は?
・依頼のない絵をどうやって売る?
・なぜ職業画家は生まれたのか?
・浮世絵はなぜ芸術に昇華できたのか?
・浮世絵は明治になって消滅したのか?
・美術館は金持ちなのか?
・真贋鑑定で芸術の価値が変わるのはなぜ?
本書を手に取れば、アートを通じた経済の様々な側面が見えてくるだろう。
<書誌情報>
美術の経済 “名画”を生み出すお金の話
本体1,680円+税
書誌情報:https://book.impress.co.jp/books/1119101024
(Kasumi.I)