オーストリアの西側は、山と湖の多い地域である。
ミュンヘンから1時間半ほどの街・Salzburg(ザルツブルク)から、バスと列車、船を乗り継いでHallstatt(ハルシュタット)を目指してみよう。
ザルツブルクの駅前からバスに乗り、いくつかの湖を経由してハルシュタット方面に向かう。晴れていれば美しい景色が見えるのだが、秋は霧で真っ白!
視界が悪い中、慣れた調子でバスは走り続ける。幻想的な霧の中の世界に、しばし感動して窓の外を見つめていた。なかなか狙って体験できるものではない。
やがて終点のBad Ischl(バートイシュル)で電車に乗り換え。ここから先は霧もなく、川の流れに沿って走り、美しい紅葉を楽しむことができた。
山と湖、そして紅葉。突き抜けるような青い空も手伝って、最高の景色である。
ハルシュタットの駅に着くと船に乗り換え、対岸に見える村へと向かう。
村の背後に迫る山が黄色や赤に染まり、ハッとするような美しさだ。露出した山の岩肌が白いため、色のコントラストが素晴らしい。
「世界一美しい湖畔の村」と言われているが、まさにその通りである。
船着場からは湖に沿って散歩してみよう。
家は湖と道のぎりぎりに建ち、山に沿うようにして上へと積み上がっているようだ。白鳥が泳いでいたり、対岸にある別の村が見えたり、見所が満載である。
家の庭や窓辺も美しく、ちょうど蔦が真っ赤に紅葉していて秋らしさを感じさせる。
日本の紅葉(もみじ)とはまた違った紅葉が、ヨーロッパでは楽しめるのだ。
秋晴れの空のもと、だんだんと赤や黄色に染まっていくハルシュタットの山々。晴れた日を選んで、青空と湖面に映る山の雄大な美しさを堪能して欲しい。
(田原昌)