これから先、山はだんだんと紅く染まっていき、美しい景色が見られることだろう。
しかし、緑でいっぱいの山も素晴らしい。戸隠神社とともに、その自然を堪能してきた。
戸隠神社はまさに山の中の神社。点在する5つの社殿を巡り歩きながら、山の恵みと自然が堪能できる。険しい山を登るわけではないので軽装でも十分歩けるコースになっているが、虫除けなどには注意したい。
その戸隠神社の最奥にあるのが、「奥社」と「九頭龍社」。その麓に広がっているのが「戸隠森林植物園」であり、この地域のさまざまな植物が間近に見られるスポットだ。
大鳥居の横を川が流れており、それに沿って歩いていくとやがて木道が現れる。
足元が湿地帯になっており、春先には水芭蕉が咲くと言う。大きなモミの木や白樺が葉を広げ、またシラネセンキュウやレンゲショウマなどが咲いていた。
整備されていながら自然の森の美しさが堪能でき、野鳥の声があちこちから聞こえてくる。池にはカモの親子が泳いでいた。
戸隠神社の奥社に行く際は、この道を通って癒されて欲しい。心地よくて、空気もいい。修験道ではないが、大自然の恵みを全身で感じることができるオススメの場所だ。
さて、この先に美しい池があるということで訪ねてみる。
名前は「鏡池」。鏡のように、周りの景色を映しこむ事から名前がついたのだろう。多くの観光客が訪れており、水面を渡る涼しい風にホッと一息ついている様子だった。
自然の池に手を加えたのか、それとも人工の建造物に水が溜まったのか。穏やかな水面には向こうの山の姿が映し出され、周囲の緑が額縁のよう。のんびりと座って眺めていたい、そんな気持ちになる場所だ。
最後に紹介したいのが、戸隠といえば名物の「戸隠蕎麦」!蕎麦の代表格だ。
戸隠神社周辺には、驚くほど多くの蕎麦屋がある。それぞれのこだわりがあり、味が違うので地元の人でも好みが分かれるところ。
我々は他ではあまり見かけない、豪快な盛られた特大の盛りそばを注文。巨大なざるからみんなで取って食べ、その美味しさを分け合った。
若干平たい形状で、程よい香りが蕎麦らしい。蕎麦好きにはクセになる喉越しだった。
自然に包まれながら、神社に詣でる。それが、山を信仰してきた日本人らしい、信州・戸隠の旅となった。
(田原昌)