曹洞宗には大本山がふたつある。ひとつは福井県の大本山永平寺(えいへいじ)、もうひとつは横浜市にある大本山總持寺(そうじじ)である。
今回紹介するのは「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(日本編)」で二つ星の評価を獲得した大本山永平寺。
永平寺は出家参禅の道場として1244年、道元禅師によって開かれ、三方を山に囲まれた境内には、今でもたくさんの雲水(修行僧)が集い、禅宗の中でも最も厳しいと言われる修行生活を送っている。
参拝料を収め、境内に向かう。建物に入る際に脱いだ靴はビニール袋に入れて持ち歩く。参拝順路を各自で巡りながら、記憶に留めるべく要所要所を撮影。境内は僧侶以外は撮影可能である。
70余棟の諸堂の中で中心となる禅宗建築七つの堂宇(山門、仏殿、法堂、僧堂、庫院、浴室、東司)を七堂伽藍と呼び、坐禅姿を模した配置となっている。
日々の生活すべてが修行であるとの教えによって、寺内にある無数の階段や廊下は毎日磨かれ美しく光を放っている。日々の掃除は「動の坐禅」とも呼ばれる。
傘松閣(さんしょうかく)の天井一面には花や鳥などの繊細で美しい230枚の絵がはめ込まれている。その中から鯉2枚・唐獅子2枚・リス1枚の5枚を見つけると願いが叶うという。
「大庫院(台所)」前に長さ4m・胴回り1mもの巨大なすりこぎが掲げてある。「食事作法そのものが仏行」という教えの現れか。3回なでると女性は料理が、男性はご機嫌取りが上手くなるといわれている。
修行のようすを間近で感じたい場合は「朝課」と呼ばれる朝の修行に参加するとよい。泊まり込む参禅修行のほか、早朝5時頃に訪れても参加できるそう。
予約なしで参加できる座禅体験や写経体験も行われている。座禅体験は午前10時と11時、午後は13時半、14時半、15時半。写経は般若心経など三種で随時受付している。
心静かに自分と向き合う体験をしてみてはいかがだろう。
永平寺所在地:福井県吉田郡永平寺町志比10-5
(小椚萌香)