「Pilsner Urquell(ピルスナー・ウルケル)」は、チェコのドイツ寄りにある「Plzeň(ピルゼン)」という街で誕生した世界初のピルスナータイプビール。
チェコ語では「Plzeňský Prazdroj (ピルゼンスキー・プラズドロイ)」と言い、チェコを代表するビールだ。
さて、昨年は別の世界企業から日本の大手ビール会社の傘下に入り、チェコでも大きな話題になったウルケルだが、現地はどうなっているのだろうか。実際に見てみたいと思い、久し振りに工場見学のツアーに参加してきた。
ピルゼンの駅を降りると、今までは遠回りで面倒だった道のりも、簡単に工場へ行けるルートが出来上がっていた。これはとてもありがたい。
麦汁の匂いを感じながら、シンボルである石造りの門をくぐる。パッと見た感じはあまり変わっていないようだ。
工場見学をする人は、ビジターセンターで受付をする。見学者用のロッカーが新しく出来ていたのが、日本らしさだろうか。日本語のパンフレットも揃っているので、是非手に入れて欲しい。
ガイドツアーは相変わらず大人気。チェコ語とドイツ語、英語のツアーが1日に何回か設定されているので、あらかじめ予約を入れておくことをオススメしたい。
明るくてノリのいいお姉さんがガイドしてくれた。気軽に何でも質問できるフレンドリーさがいい。
ツアーの回る道順はほぼ一緒だったが、解説がとても分かりやすく面白くなっていたので、ビールについて何も知らない素人でも十二分に楽しめると思う。
麦芽もホップも全てチェコ産。日本でも耳にする「ザーツ産ホップ」とはチェコで収穫される最高のホップ。水はヨーロッパでは珍しい軟水で、ピルゼンの地下水を使用している。
「我々は、自分たちの作るビールの伝統を守り、誇りを持って醸造しています」と、ガイドさんは言った。心強い一言だ。
そしてツアーの最後は、ここでしか飲めない特別なウルケルで乾杯!これが工場見学の醍醐味である。
醸造用の釜が増設されているのを見たが、見学上では今までと変わらないように思える。
ただ、ツアーが終わってエレベーターを上がるとお土産コーナーに出た。以前は離れた場所にあったので、こういうやり方が日本らしいなと驚きつつも、新しいグッズについつい手が出てしまう。他の観光客も楽しそうに盛り上がっていたので、これが正解なのだろう。
これからも美味しいビールを造り続けてくれるよう願う。そしていつか日本語のツアーが出来て、日本からの観光客が増えるのかもしれないと思った。
(田原昌)