人は、よりわくわくする「気晴らし」を手に入れるためなら、危険も冒せば、驚くべき挑戦も厭わない。遊びや娯楽のような「気晴らし」だが、歴史を丁寧に紐解くと、人間が何かに突き動かされるように追求してきた「気晴らし」の発展が、いかに人類の歴史にとって大きな変化を産んできたかが分かってくる。
『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』は、ショッピング、音楽、ゲームなど人々が新しい「気晴らし」を追求する中で、思いがけず生まれた文化や技術の発明、産業の発展の歴史を紐解いた、まったく新しい人類進化史の決定版だ。
著者のスティーブン・ジョンソンは、『世界をつくった6つの革命の物語―新・人類進化史』(朝日新聞出版)、『感染地図―歴史を変えた未知の病原体』(河出書房新社)など、ベストセラー9冊を著す。またBBCの「私たちはどうして現在にいたったか(How We Got to Now)」の共同制作者であり、司会も務めている。
「4000年前、巻貝から取れる紫の美しい染料を発見しなければ、ディズニーランドはなかったかもしれない」
「17世紀、ひとりのイギリス商人がトルコでコーヒーに魅了されていなければ、ダーウィンの進化論は生まれていなかったかもしれない」
など、世界の歴史を変えてきた「気晴らし」。新しい人類進化史であり、人類文化史、社会史、経済史、生活史、科学史であり、またエンターテインメントでもある。歴史ファンのみならず、未来をつくる若い人々にも、多くの人に読んでもらいたい一冊だ。
■書誌情報
書 名:世界を変えた6つの「気晴らし」の物語 新・人類進化史
著 者:スティーブン・ジョンソン著/大田 直子訳
発 行:朝日新聞出版
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19518
■目次から抜粋
序章 マーリンの踊り子
・「気晴らし」の種はヨーロッパ以外で育つ
・「気晴らし」を探れば未来が見える
第1章 下着に魅せられた女たち ファッションとショッピング
・買い物が手段でなくなった日
・ウォルト・ディズニーのイマジニアリング
第2章 ひとりでに鳴る楽器 音楽
・自動演奏ピアノの軍事利用
・音楽はコンピューターの母だった
第3章 コショウ難破船 味
・世界を変えた香辛料
・香辛料のメッセージは「火事だ!」
第4章 幽霊メーカー イリュージョン
・ホラー映画を生んだ霊媒師
・ディズニーの『白雪姫』
第5章 地主ゲーム ゲーム
・「スペースウォー!」とジョブズのつながり
・人間にもっとも近い「ワトソン」の未来
第6章 レジャーランド パブリックスペース
・モンブラン踏破とダーウィンの進化論
・世界は狭まり「遊び場」が生まれる
(田原昌)