チェコにはたくさんの世界遺産があるが、Český Krumlov(チェスキークルムロフ)はオーストリア国境に近い美しい街。
街の造りを見てみると、高台に城が建ち、眼下を流れるVltava(ヴルタヴァ川、モルダウ川)が大きく蛇行しながら街をぐるりと囲んでいる。川が日本で言う所の、天然の「壕(堀)」となっているのだ。
夕方、と言っても日本の5時や6時ではまだ十分に明るい。日の入りが9時近いので、薄暗くなってくるのは8時になる頃。
そのため、プラハなどからの1日ツアーでは5時頃までには引き上げてしまうので、夜のチェスキークルムロフは楽しむ事が出来なくなってしまう。この点は注意したい。
日が落ち始めると、辺りの空が美しい紫色に染まってゆく。多くの観光客は撤退した後なので静かな雰囲気が漂い、散歩にも向いている。
建物の中には入れないが、クルムロフ城の敷地内には入れるので坂を上っていく。城は街を守るように巨大な岩盤の上にそそり立っているので、街を見下ろすのに最適だ。
美しい夕暮れ、眼下に広がるおもちゃのような可愛らしい街並み。
しばしそんなチェスキークルムロフを眺めながら、のんびりとした時間を楽しもう。
夜の9時を過ぎると、だいぶ暗くなってくる。
クルムロフ城がライトアップされ、幻想的な時間の始まりだ。
レストランやパブは遅くまでオープンしているが、普通の店は閉店し、街中は急に暗くなった。古い時代をイメージした優しいオレンジ色の街灯だけが灯っている。
まるで中世の世界に入り込んだよう。その美しさと都会では決して味わえない雰囲気を、是非味わってもらいたい。
(田原昌)