8月12日(月)まで、麻布台ヒルズの「集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー」にて、尾田栄一郎さんの作品を集めた「ONE PIECE/The Scroll」展が開催中だ。
尾田さんは『ONE PIECE』連載10周年や20周年といった節目のタイミングで、たびたび紙を横につないだ作品を発表してきた。今回、同展では特殊な紙と技術を用いてこれらの作品を印刷し、特別に展示する。
特別な大判の越前和紙を使用
「ONE PIECE/The Scroll」展の作品に使用する紙は、越前市にある岩野平三郎製紙所が手がけた手漉きの越前和紙。
岩野平三郎製紙所は、1865年、幕末の大混乱期に創業した老舗。明治時代に初代・岩野平三郎さんが絵画制作に優れた「雲肌麻紙」を開発し、横山大観らもこの紙を愛用したという。
現在は四代目が伝統的な原料を用いて、長辺3メートルを超える紙を制作。日本で唯一の大判手漉き和紙工場として、その地位を確かなものにしている。
コロタイプ印刷で歴史に残る作品に
印刷にはコロタイププリント技法を用いている。
この技法は実用化された写真製版技法としてはもっとも古く、定着されたイメージが100年以上残ることが歴史的に実証されている。京都の寺社仏閣の修復記録資料にもコロタイプ印刷による写真が添付されているほどだ。
「ONE PIECE/The Scroll」展では、1887年創業の老舗印刷所・便利堂にカラーのコロタイプ印刷を依頼。法隆寺金堂壁画の原寸大撮影なども行ってきたノウハウを尾田氏の作品にも活かす。
16〜17版を用いた史上初の大作が完成
今回の作品は、より迫力を出すために原画を拡大。ビビッドな色彩を再現するために1枚につき16〜17版という、通常の商業印刷の4倍の版を用いた。美しく強靭な和紙でなければとても耐えられない回数だ。
国宝や重要文化財の複製を数多く手がけてきた便利堂の工房でも、この数の版を用いるのは初めての試み。イメージを正確に合わせてプリントするには、熟練の職人技術が必要だったという。
同展には、この技法を用いた3枚分の作品が登場。計50版を駆使した大作を披露する。
また、額装展示に加え、巻物(Scroll)状に表装した作品も披露。紙漉きや製版などの様子を記録したムービーの他、制作過程のテスト刷も展示する。
マンガアートがどのように形になるのか、その過程にも興味がある人は必見だ。
尾田栄一郎「ONE PIECE/The Scroll」
期間:開催中~8月12日(月)
開廊時間:11時〜20時
休廊日:月曜日(7月15日、8月12日は開廊/7月16日閉廊)
場所:集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー
所在地:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1
集英社マンガアートヘリテージ公式サイト:https://mangaart.jp/ja
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000594.000011454.html
(IKKI)