ヴェネチアの現代美術展を京橋「アーティゾン美術館」にて“体感”。坂本龍一氏が参加した新作も公開

アーティゾン美術館は、2023年2月25日(土)~5月14日(日)の期間、ダムタイプの新作を再構築して日本初公開する体感型展覧会「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022:remap」を開催する。

これに先がけ、12月23日(金)よりウェブ予約チケットの販売を開始。

ヴェネチアの国際美術展で発表した新作をさらにブラッシュアップし、日本国内に紹介する帰国展。アーティゾン美術館にてサイト・スペシフィックに再構成した作品を見に行こう。

2年に1度の現代美術国際展、日本館展示はダムタイプ

「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」は、​イタリア・ヴェネチアの各所を会場とし、2年に1度開催される現代美術の国際展。今年第59回を迎えた同展の日本館展示に選出されたのが、日本のアート・コレクティブの先駆け的な存在である“ダムタイプ”だ。

ダムタイプは、映像、コンピューター・プログラム、音楽、ダンスなど、さまざまな分野のアーティストによって構成されるグループ。1984年の結成時から一貫して、身体とテクノロジーの関係を独自な方法で舞台作品やインスタレーションに織り込んできた。

特定のディレクターを置かず、プロジェクトごとに参加メンバーが変化するなど、ヒエラルキーのないフラットなコラボレーションにより生まれる作品は、既成のジャンルにとらわれない、あらゆる表現の形態を横断するマルチメディア・アートとして紹介されている。

アーティゾン美術館での帰国展、3つの見どころ

そんなダムタイプが、今年の「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」で発表したのは新作『2022』。今日の地政学的境界あるいは国境を越えて共通のインフラとなっているインターネット空間を基調としたコミュニケーションのあり方に問いを投げかけた作品だ。

アーティゾン美術館では、この国際美術展での成果を国内に紹介する展覧会を開催する。今回は同展覧会の3つの見どころを紹介しよう。

1.『2022』を再現展示ではなく再構築した作品

アーティゾン美術館では、『2022』を再現するのではなく、『2022:remap』として再配置する。同美術館のデザインを活用したサイト・スペシフィックな構成に注目だ。

2.坂本龍一氏が参加した作品

『2022』は、坂本龍一氏が初めてダムタイプメンバーとして制作に関わった作品。

坂本氏が同作のために新たに制作したサウンドトラックと、同氏の呼びかけにより世界各地でフィールドレコーディングされた音は、ダムタイプの視覚言語と融合する。そのとき、その場に立つ人が耳を澄ませることの意味、機械を通じた知覚のあり方が浮かび上がるという。

また、1850年代の地理の教科書から引用した普遍的な質問のテキストを独自のレーザー装置で壁に投影したり、デヴィッド・シルヴィアン氏やカヒミ・カリィ氏など坂本氏の友人による朗読の音声が流れたりする。これにより、見えるか見えないか聴こえるか聴こえないかの境界線上での表現を体験できるという。

3.過去の作品を取り入れ進化するダムタイプの作品

ダムタイプのインスタレーション作品はパフォーマンス作品と連動するのも特徴。『2022』は、18年ぶりの新作パフォーマンス『2020』と関係している。

『2022:remap』では、過去作『Playback』で使用したターンテーブルや、『TRACE/REACT II』の表現言語が新たに交差。過去のヴィジュアル・サウンド表現が組み合わされつつも更新される、ダムタイプの創造性や関心を感じらるだろう。

2つの展覧会を同時開催

「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022:remap」は、アーティゾン美術館6階展示室にて日時指定予約制で開催。一般の入館料は、ウェブ予約なら1,200円(税込)、窓口販売の当日チケットなら1,500円(税込)となっている。

また、同展覧会の期間中、2つの展覧会を同時開催。上記のチケットで同時開催の展覧会もすべて楽しめる。

1.画家の手紙にまつわる作品や手紙そのものを展示

4階展示室では「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 画家の手紙」を開催。

画家の手紙からは、師弟・友人・恋人・家族などに対する思いや創作にまつわる悩みなどが垣間見えるという。今回は、坂本繁二郎さんら日本近代洋画家の手紙にまつわる作品あるいは手紙そのものを展示する。

2.ひと味違った展示方法で作品を楽しむ

5階展示室では「アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ」を開催。

ここでは、厳選した作品をひと味違った展示方法で紹介する。肖像画のひとコマになったり、描かれた景色に浸ったりと違う角度から作品の世界観に触れられるようだ。

ダムタイプの新作をはじめ過去作と融合した展示と同時開催の展覧会、すべて巡ったあとに何を感じるだろうか。

アーティゾン美術館
所在地:東京都中央区京橋1-7-2
開館時間:10:00~18:00、5月5日を除く金曜日は20:00まで
休館日:月曜日
HP:https://www.artizon.museum/

「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022:remap」公式サイト:https://www.artizon.museum/exhibition_sp/dumbtype/

(Higuchi)

※入館は閉館の30分前まで
※当日チケットはウェブ予約枠に空きがある場合に販売