パリで開催された日本酒コンクール。ワインソムリエに選ばれた今年の日本酒とは

5月23日(月)フランス・パリにて開催された「Kura Master日本酒コンクール2022」において、決勝に進出したトップ16銘柄、各カテゴリーのトップに選出された「審査員賞」5銘柄を含めた受賞酒が公式Webサイトにて公開された。

フランスで選ばれた日本酒についてみてみよう。

審査委員長のグザビエ・チュイザ氏と2022年度の決勝進出TOP16銘柄

年々規模が拡大しているコンクール

Kura Masterとは、フランスの地で行うフランス人のための日本酒コンクールで、2017年から開催されている。今年で6回目となるが、規模は年々拡大しており、これまでで最多となる5部門1,110点(昨年960点)の日本酒が審査に挑んだ。

審査カテゴリーは、純米酒部門、純米大吟醸酒部門、サケスパークリング部門、生酛(きもと)部門、古酒部門の全5部門で行った。

なお、7月6日(月)に在フランス日本国大使館公邸で行われる「Kura Master 日本酒コンクール2022」授賞式では、プラチナ賞に選出された日本酒の中から、審査委員長のXavier Thuizat(グザビエ・チュイザ)氏が選出した「プレジデント賞」1銘柄を発表する。

今年の受賞酒は?日本酒と食のペアリングを評価する新しい賞も

各カテゴリートップの「審査員賞」に輝いた受賞酒

審査員賞に選ばれたのは、純米酒部門では宮城県の一ノ蔵「祥雲金龍 純米吟醸」、純米大吟醸酒部門は栃木県の外池酒造「燦爛 純米大吟醸 夢ささら」、サケ スパークリング部門では富山県の富美菊酒造「羽根屋 スパークリング」が受賞。

また、新設された生酛部門では、秋田県の天寿酒造「生酛仕込純米酒 鳥海山」で、同じく新設された古酒部門では、佐賀県の天山酒造「天山 純米 全麹仕込み 20年熟成」が選ばれている。

フロマージュとのペアリングで選ばれた古酒

今年初の試みとして、日本酒と食のペアリングを評価する「アリアンス ガストロノミー賞(特別賞)」が選出された。

この賞は、今年新設した古酒部門にて2次予選に残ったベスト古酒5銘柄と、フランス国家最高職人章(M.O.F)の資格を持つ、Bernard Mure-Ravaud(ベルナール・ミュールラヴォー)氏が選んだフロマージュとペアリングを行い、フロマージュの味わいを最も引き出す古酒に授与される。

それは、古酒だけでなく日本酒全般とフロマージュのペアリングを知ってもらい、新たな味覚の発見を普及させることを期待したもの。

今回受賞したのは、和歌山県の中野BC「CHOKYU 1997」だった。

過去最高を更新した、フランス向け日本酒の輸出量

フランスでの日本酒市場拡大に関しては下記のグラフを見ても分かる通りで、2021年度の輸出額・輸出量は、過去最高を更新(*)。欧州においては、これまでイギリスが日本酒輸出をけん引していたが、2021年に初めて金額・数量ともにフランスが超える結果となった。

また、昨年5月には、同協会が主催する「ベストソムリエ・オブ・フランス 2020」の決勝戦にて日本酒が初めて出題されるなど、ガストロノミーの分野で影響力の高いソムリエによる、日本酒の啓発活動が成果を見せ始めていると考えられている。

フランスで栄えある賞を受賞した日本酒を味わってみたい。

Kura Master公式HP: https://kuramaster.com/ja/

(田原昌)

* 貿易統計を元にしたJETRO調査資料に基づく