日本最古のビヤホール・銀座ライオンビルが登録有形文化財(建造物)に指定

銀座華やかなりし時代を知る、歴史的ビヤホール。

■空襲を免れ、創建87周年

サッポロホールディングスのグループ企業である「サッポロライオン」の、1934年創建「銀座ライオンビル」が登録有形文化財(建造物)に指定された。

現存する日本最古のビヤホール

1934年・昭和9年4月8日、大日本麦酒の本社ビルとして竣工した「銀座ライオンビル」の1階に、ビヤホールが開店した。ビル及びビヤホールの内装は、当時としては贅をつくし、工夫を凝らした造りとなっており、建築家を含め多くの人から絶大な賞賛を集めた。

戦時中空襲により多くのビヤホールは焼失または疎開のため取り壊されたが、「銀座ライオンビル」のビヤホールは空襲を免れ、昭和20年9月11日から接収され進駐軍専用のビヤホールとなった。

昭和27年1月に接収は解除され、再度一般のユーザーも利用できるようになり、現在に至る。

ビヤホールライオン 銀座七丁目店・現在

竣工当時

■登録有形文化財に登録の経緯

『ビヤホールライオン 銀座七丁目店』は、現存する日本最古のビヤホール。かつては会議室として使用していた6階宴会場の『銀座クラシックホール』も、現在ではパーティー会場等として利用している。

銀座クラシックホール・現在

竣工当時

創建当時から内装は殆ど同じままで、「いつも同じ姿で迎えてくれるビヤホール」「思い出が詰まっているビヤホール」として多くのユーザーから愛され続け、今年4月8日(木)で創建87周年を迎えた。

80年以上もの間、銀座の歴史を伝える歴史的建造物として親しまれてきたことも、登録される経緯に影響していると考えられる。

■内装コンセプトは「豊穣と収穫」

「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」の想いを込められ作られた空間が『ビヤホールライオン 銀座七丁目店』だ。

「豊穣と収穫」がコンセプトのビヤホールの所々に、豊かな実りを感じる大麦や葡萄がモチーフの装飾を施している。店内に一歩入ると、その歴史と風格を感じる雰囲気から「まるで教会のようだ」との感想を抱く人もいる。

店内正面の大型ガラスモザイク壁画には、ビール大麦を収穫する女性たちを描き、その中にはたわわに実った葡萄や、中央には愛や平和を象徴する「アカンサスの花」を描いている。

店内の赤レンガの壁は「豊かな実りをはぐくむ大地」をイメージ。またホールの左右に並ぶ緑のタイルと、天井に伸びる矢じり型の装飾からなる太い柱は「大麦」を表現している。

店内を照らすのは、ビールの泡をイメージした水玉模様の照明や、葡萄の房をモチーフにしたシャンデリア。

厨房機器など一部は時代に合わせ改良しているが、内装の殆どは創建当時の姿のまま、そこが時代を超えて多くのユーザーから愛される所以でもある。

時代も世代も超えて愛され続ける銀座のビヤホール。時間が熟成した独特の雰囲気の中で、日本の生ビール文化の深さを実感できそうだ。

銀座ライオンビル

所在地:東京都中央区銀座七丁目9番20号
公式サイト:https://www.ginzalion.jp/shop/brand/lionginza7/

(冨田格)