プロヴァンス地方、大規模山火事を乗り越え2021年の収穫スタート

ロゼで有名なフランスのプロヴァンス地方。今年は山火事の被害があったが、それを乗り越えて収穫が始まった。その状況について紹介しよう。

©Cédric SKRZYPCZAK-CIVP

プロヴァンスワイン委員会は、2021年の収穫状況と山火事の影響について次のように発表した。

8月、プロヴァンスのぶどう畑では、果実の成熟が早い地域から収穫が始まった。健やかに育っている果実がある一方、4月の霜害に加え、8月にヴァール県とコート・ド・プロヴァンスの一部を襲った大規模な山火事による影響も見られる。

■2021年は「生産者のヴィンテージ」に

2021年の夏は暑く乾燥していたため、果実は非常に健やかに育ち、うどん粉病の発生報告はなかった。べと病が発生したものの件数は少なく、病害は速やかに食い止められた。4月の霜による影響は、最終的には当初危惧されたほど深刻なものとはならず、5月には生産者たちの間に安堵の声が広がった。とはいえ、収穫はまだ始まったばかり。区画によってもかなりの差が見られ、収穫高の推定はもう少し先になる。

最も成熟したぶどうでサンプル調査をしたところ、2021年ヴィンテージはバランスの良さが特に期待できる。2020年と比べ、ぶどうの糖度は低めで酸度が高く、ロゼワイン作りの理想的な条件を満たしていた。

6月にプロヴァンスワイン委員会(CIVP)の新会長に就任したエリック・パストリーノ(Éric Pastorino)氏は、以下のようにコメントしている。

「同じ区画内で成熟の度合いに差が生じていることから、今年の収穫は生産者の熟練度や経験値が試されるものとなるでしょう。クラシックな表現を用いるとすれば、2021年は『生産者のヴィンテージ』となるでしょう。ここ数年で、異常気象の頻度が増し、これまでのやり方が通用しなくなっていますから」

■山火事被害のブドウぶどう畑に支援の輪広がる

8月16日からの1週間で山火事の被害を受けた農園は、ゴンファロン(Gonfaron)、レ・マイヨン(Les Mayons)、ヴィドーバン(Vidauban)、グリモー(Grimaud)などの各地域で、延べ30軒ほどにのぼる。

AOP コート・ド・プロヴァンスにおいて損害が生じたぶどう畑の面積を調べるのは、いまだ極めて難しい状況だ。焼け焦げてしまったぶどう樹や、難燃剤の噴射を受けたぶどう樹からは、収穫が見込めない。

被災地域でも滞りなく収穫がなされるようにと、各方面から支援の手が差し伸べられている。コート・ド・プロヴァンス生産者協会は業界ぐるみのアクションを起こし、影響を受けた生産者が資機材を借りられるように制度を整えたり、ヴァール県の農業会議所は農業タスクフォースを稼働させ、被害やニーズの調査に乗り出すとともに、オンライン基金を立ち上げたりしている。

■2020年は約1億6600万本を生産

プロヴァンスワインのぶどう畑は、地中海とアルプス山脈の間に位置し、ブーシュ=デュ=ローヌ、ヴァール、アルプ=マリティムの3県におよぶ約200kmにわたって広がり、コート・ド・プロヴァンス、コトー・デクス・アン・プロヴァンス、コトー・ヴァロワ・アン・プロヴァンスの3つのAOPがある。2020年には、プロヴァンスといえばのロゼ(91%)、赤(5%)、白(4%)あわせて約1億6600万本を生み出している。

被害を受けても立ち上がろうとしている、2021年ヴィンテージに注目したい。

(田原昌)