日本酒を愛する人なら気になること確実な長期熟成酒を紹介しよう。
■昭和、平成、令和を歩んだ長期熟成酒
石川県金沢市にある酒造「福光屋」は、1959年に研究を開始し貯蔵を続ける長期熟成酒の中で最古の日本酒「百々登勢 1970」から、50年の節目に一部を取り分け、特別販売する。
1959年(昭和34年)。
高度経済成長期が幕を開け、大量生産による質より量の酒が主流となり、日本酒の賞味価値を1年とする新酒礼讃の時代に、福光屋十二代当主・福光博氏は、日本酒の多様な価値と可能性を見出そうと数十年先の仕上がりを見通した最良の酒米の選定や、熟成に最も相応しい醸造法、貯蔵と熟成のノウハウを確立するために、幾多の試作に深い情熱を注いだ。
1961年(昭和36年)には、熟成専用の禄蔵(みどりぐら)を新設。
貯蔵温度の緻密な研究も本格化し、これらの熟成酒と技術は、現社長の十三代当主・松太郎氏に受け継がれて今に至る。
50年の節目を迎えた、福光屋の宝ともいえる長期熟成酒の中で最古の1970年醸造の純米酒。昭和、平成、令和の三つの時代を歩み、唯一無二の風格をそなえた味わいを、半世紀の歳月を大観する浪漫とともに愉しんでほしいと、一部を取り分け、720㎖瓶100本を申し込み制にて販売する。
「福光屋」は、この熟成酒が100年を迎える2070年に向け、時間の恩恵を享受しながらさらに研究を深めていくそうだ。
■時間と気候、自然の恵みが育んだ奇跡
酒齢50年の「百々登勢 1970」は、世界最古級の日本酒。丹精を尽くした酒の仕上がりを、さらに50年という歳月にゆだねることは究極の贅沢だ。
半世紀に及ぶ時間は、米と水のみで醸したこの酒に、神々しい豊かな香り、琥珀に輝く艷やかな色、濃醇な旨味という無二の個性を授けた。世界各国の洋酒、蒸留酒とは趣をまったく異にする、深く円熟した味わいと余韻が堪能できる。
長期熟成酒を成り立たせる最大の要素が時間であれば、もう一つのエレメントは気候だ。日本海に接する金沢特有の冬季の降雪と寒さ、夏季の蒸し暑さが日本酒の熟成を後支えする。
熟成蔵での冬と夏の寒暖差が熟成にとって理想的な呼吸となり、50年繰り返す金沢の四季のなかで、その香味と旨味をゆっくり磨きながら味わいを深めてきた。
福光屋の仕込み水は、霊峰白山の麓に降り注いだ雨雪が地中深く浸み込み、100年の歳月をかけて酒蔵の地下に辿り着く恵みの「百年水」。
酒米は長期にわたる貯蔵熟成に応え、時間の経過とともに香りやボディを深めることができると見込まれた石川県産・五百万石を100%使用している。
水と米、醸造、熟成のすべてが石川の自然、気候風土の環のなかでゆっくりと融合し、見事に結実したのが「百々登勢 1970」だ。
「加賀二俣和紙」 「加賀水引」「金沢箔」を施した「総檜印籠式化粧木箱」に「カリクリスタルボトル」が収められた特別なパッケージで届く、「百々登勢 1970」。自然の恵みと、時の流れが生み出した魔法を、じっくりと味わってみたいものだ。
「百々登勢 1970」
容量: 720㎖
参考小売価格: 1,100,000円 (税込)
販売本数: 100本限定
購入申し込みフォーム:https://www.fukumitsuya.co.jp/momotose1970/
(冨田格)